<観劇レポート>雀組ホエールズ 「凪のように穏やかに」

#芝居,#雀組ホエールズ

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 雀組ホエールズ「凪のように穏やかに」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名雀組ホエールズ
第17回公演
凪のように穏やかに
脚本佐藤雀
演出佐藤雀
日時場所2022/02/17(木)~2022/02/21(月)
シアターグリーンBASETHEATER(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

横浜がホームグラウンドですが、公演は都内を中心に活動。

雀組ホエールズは「社会派」といわれることが多いですが、作品の根底は「思いやり」をテーマにしたいと思っています。「恥ずかしいくらいに正直な思いを伝えてみて、そこからどう思われるかはお客様に委ねるしかない」そう考えています。現実がどんどん殺伐としていく中で私たちがお伝えできることを探していきたいと考えています。

​>また雀組ホエールズは、小劇場の面白さを初めて演劇に触れる方にお伝えしたい。演劇ファンはもちろんですが、演劇を観たことがないという人にこそ、見て欲しいんです。お金を払って90分以上、狭い空間に押し込められて、なんだかお金も時間も損した気分になる、それが演劇。そんな風に思ってる方にこそ見て欲しいんです。

​>楽しい、笑える、そして泣ける。舞台上の役者たちと観客が一体となって作り上げる空間。それが演劇の魅力だということを体験して欲しいんです。役者はお客様の空気を敏感に感じる。そしてお客様も、そんな役者の空気を感じることができる。舞台の上と観客席がお互いに心を開き合ったとき演劇は、最高のエンタテインメントになるんです。

映画は1800円、演劇はその倍以上の値段がかかります。雀組はそのことを踏まえて、「お客さんに損はさせない」そういう思いで演劇を作り上げて本番に臨みます。そんなわけで、一緒に小さな空間を共有しましょう。

劇場でおまちしています。

雀組ホエールズ

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

2021年3月11日。あの日から10年が過ぎた。
男は愛する妻娘の行方がわからないまま東京の知人に厄介になっていた。当時テレビ画面に映し出された被災地。名ばかりの復興を掲げた2020五輪。生きることにすら疑問を感じ続け、それでも笑顔を絶やさない男の心中は穏やかではなかった。男は何から逃げ続けていたのか。そして彼が向かうべきはどこなのか。雀組ホエールズが正面から向き合い、笑いと涙に昇華させたいという想いで作り上げます。

(主宰より)
東日本大震災は一過性のものではない。それでも当事者以外は心のどこかで「他人事」「過去」にしたいと思っているように思います。復興五輪を掲げたはずの東京オリンピックが、コロナに打ち勝つための五輪になっていたこと、そしてそのことにあまり疑問を抱かなかった国民。僕は当事者ではありません。ただ震災後の夏に石巻市役所の職員さんに言われた言葉がずっと忘れられません。【とにかくこの景色(惨状)を実際に見に来て欲しい】そして泥に埋もれた衣類やゲームなどの【日常生活の跡形】。僕たちは被災された当事者の皆さんに押し付けて、どこかで他人事にして忘れようとしているのかもしれない。それがいいか悪いかも分かりません。善悪は人それぞれだと思いますし、人間の持てる荷物には限りがあります。事象にではなく、人間に寄り添うことで、努めて楽しい作品にしたいと思っています。僕の心中を皆様に吐露することが、誰かの一助になればと筆を取りました。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年2月18日
14時00分〜
上演時間100分(途中休憩なし)
価格4500円 自由席(一部VIP席あり)

チケット購入方法

カンフェティでチケットを購入しました。
「モバパス」アプリにチケットをダウンロードしました。
当日アプリの画面を見せました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。
平日マチネだからか、40代upの方が多かったように思いました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・泣ける
・会話劇

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

震災から10年。漁師をしていた男は、震災で亡くした妻と娘の事を引きずっている。東京の友達の家に住み、周りの人を支え、時に支えられながら生きている。世話になっている夫婦の息子。小学5年生の頃に震災があった。それ以来、ずっと引っかかっていたと、男と一緒に震災の街を見に行く。そこで見つけたのは、自分自身の遺体だった・・・と強引にまとめるとこんな話。

久しぶりの雀組ホエールズ。後説では、二年半ぶりの公演らしい。そんなに間が空いてしまったか…と、自分の感覚を疑いつつ、期待値を高めて観劇するも。どうにも上手く物語に入り込めなかった。

ラストで明かされる真実が衝撃的。実は死んでいたのは男の方で、そこまで見てきたのは、男が幽霊として、妻や娘、友達から、離れられない様子であることが明かされる。あまりの急展開にびっくりするも、そこまでの生活の描写がどこか現実味が無く、腑に落ちない点がたくさんある事に、合点がいく。

ラストのひっくり返しは、物語の意外性という意味では驚くも、震災を扱う以上、現実味の無さの描写が効果的だったか…というと、とても疑問に思った。幽霊だ、という事が分かった時点で、過去の様々な出来事が再解釈できればよかったのだけれど、幽霊だという事以外はつかめなくて、むしろ舞台中盤のやり取りの意味付けに困ってしまった。なので、単に現実味の無い物語だけが残ってしまった。加えて、どこかで見てきたような、幽霊モノの物語のステレオタイプな影が見えて(映画「ゴースト」とか)、どんでん返しが、むしろ感情移入を阻んできてしまったように感じた。

役者さん。棚橋幸代、前作の雀組作品にも出ていたように思う。立ち姿の奇麗さと、表情が印象に残る。斉藤こず恵、凄い破壊力だなぁ。よく分からない登場人物なのに、出てくるととにかく惹きつけられた。