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【観劇レポート】劇団文化座「蛍の光、窓のイージス」

#芝居,#劇団文化座

【ネタバレ分離】 劇団文化座「蛍の光、窓のイージス」の観劇メモです。

初回投稿:2025年10月18日 13時02分
最終更新:2025年10月18日 13時02分

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名劇団文化座
劇団文化座公演 No.169
蛍の光、窓のイージス
脚本畑澤聖悟
演出西川信廣
日時場所2025/10/17(金)~2025/10/26(日)
あうるすぽっと(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団文化座は戦時下の1942(昭和17)年2月、井上正夫演劇道場のメンバーであった演出家の佐佐木隆、女優の鈴木光枝らによって結成され、同年4月第1回公演梅本重信作「武蔵野」で旗揚げした。1945年、日本の現代演劇を紹介する目的で旧満州(中国東北部)に渡り、そこで敗戦を迎えた。

 創立期には日本の現代演劇史に大きな足跡を残す劇作家三好十郎との深い結びつきによって三好作品を連続上演し、戦時下の厳しい条件のもとで演劇の良心の灯をともし続けた。以来、三好十郎作『その人を知らず』『炎の人――ゴッホ小伝』、山代巴原作『荷車の歌』、長塚節原作『土』、山崎朋子原作『サンダカン八番娼館』など、底辺に生きる人々に光を当てた作品の上演を続ける。

劇団文化座

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

秋田県のとある高校の卒業式当日。卒業生による答辞に『イージスアショア』に関する内容が。教員たちにもそれぞれの立場と思惑があって大混乱!そこに新聞記者、さらには学園のボスまでやってきて…卒業式まで、あと2時間!

『親の顔が見たい』の畑澤聖悟氏による待望の書き下ろし!2025年秋の最新東京公演!

■あらすじ
「その答辞はまかりならん!」卒業式まで、あと2時間。

2017年、日本政府はイージス・アショア(陸上配備型のミサイル迎撃システム)の導入を決定し、翌年、秋田と山口の配備を決定した。秋田において適地とされたのは秋田市新屋地区の陸上自衛隊新屋演習場。県民・市民の意見は賛成と反対に分かれ、秋田を二分する論争となっていた。
 2019年3月1日、配備地から300メートルの距離にある私立米倉学園秋田城西高校(架空の高校)3年部の職員室。卒業式が2時間後に始まる朝8時、3年2組担任の森教諭が答辞を読む卒業生代表の菊池みやびを呼び出した。答辞にイージス・アショアに関する内容が含まれていることが判明したのである。このままでは大騒ぎだ。「この部分をカットしてもらえないかしら?」。しかし、みやびは拒否。学年の教員団はみやびを説得する。
 卒業という、特別な1日の揺れ動く教員たち、生徒たち。卒業式はあと2時間で始まる。果たして答辞はどうなるのか !?

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2025年10月17日
19時00分〜
上演時間110分(途中休憩なし)
価格5500円 全席指定 1000

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

2017年。秋田県の高校。卒業式の日の3年生の職員室。朝のホームルームを終えて集まってくる先生たち。答辞を読むミヤビは、担任の先生に再度答辞の原稿を見せる。どうやら答辞の中に、学校から300メートルほど先に建設予定が決まった「イージス・アショア」に対する批判が含まれているようで、その部分を削るように昨日言われていたようだ。一晩明けて削って来なかったミヤビ。次第に答辞の内容が先生たちにも伝わってくる。教頭・校長はこの学校の系列校の東京の理事長の政治的な立場を気にしているようだ。3年生の担任達も、イージス・アショアに対しては賛成・反対が分かれているようだ。ミヤビは無事そのまま答辞を読めるのか。熊被害の取材に来た新聞社の人も含めた、卒業式2時間前のリアルタイムな物語。

劇団初見。高校演劇の全国大会(の後の東京での優秀校公演)で何作か観ている、畑澤聖悟の作品。つまりは高校演劇の全国大会常連校の顧問の先生の外部団体への書下ろし。毎回思考を強いてくる、考えさせる要素を多く含んでいる作品が多く好きだったので観劇。政治的…と言うとちょっとズレてしまう気がするのだが、ミサイル配備などの政治的な問題を、卒業式の答辞に込めた高校生になぞらえて描く。

実際に近くに住んでいないからだろうか…「イージス・アショア」の問題をあまり良く知らなかったのもあり物語として興味深く観た。校長・教頭・各クラスの担任の先生他総勢20名くらい出ている中、過去の事柄への伏線を複数たくみににはりながら、イージス・アショアの配置、政治的なものへの想いの差と、それでも教育の現場で変わらないものがあぶり出てくる。

この作品は2017年ごろの話。その後イージス・アショアの配置は中止になって、劇中配備予定の年として出てくる2025年の今は結局完成していない。しかし、配置自身はトランプ政権にゴリ押しされた感が強かった様子。2025年の第二次トランプ政権。今後どうなるのか分からないという事実も示唆されている。

ただ同時に演劇としては、物語全体がちょっと説明的かなという感覚。登場人物の多さもあって、それぞれが事実主張・自己主張しているだけにも見えてしまう。これまで観た畑澤聖悟の高校演劇の作品は、高校演劇の大会の制約もあり1時間以内。制約の中でこちら側に「考えさせる」思考を強いてくる作品か多かった。上演時間110分で割と長尺になったこともあり、制約が無くなると急に事実羅列になったような気がしたのはちょっと残念。

老練な劇団だと初めて観た劇団だが、老練な劇団だけに役者さんが多いのだけれど、配役表が(パンフレットを買わないと)分からずなのが残念。

舞台#芝居,#劇団文化座