<観劇レポート>東京デスロック「外地の三人姉妹」

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<観劇レポート>東京デスロック 「外地の三人姉妹」

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 東京デスロック「外地の三人姉妹」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名東京デスロック
KAAT×東京デスロック
外地の三人姉妹
脚本ソン・ギウン
演出多田淳之介
日時場所2020/12/12(土)~2020/12/20(日)
神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2007年には青年団内のユニットとして活動。
2008年度より3年間、埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみのレジデントカンパニーとして活動。主宰の多田は2010年4月より、同館の芸術監督に公共文化施設の演劇部門では国内歴代最年少で就任。

2009年より東京公演休止を宣言、富士見市を中心に国内外の地域での活動を展開する。
2011年度より「地域密着、拠点日本」を宣言し、各地域でのワークショップなどのアウトリーチ、地域のアーティストとの合同公演など、地域に根ざす劇場、カンパニーと共に地域の芸術活動を推し進める。東京以外の国内外16都市30公演を経て、2013年1月4年ぶりに東京公演を行う。

シェイクスピアなど古典戯曲の上演では、音楽にはJポップを使用し、「ロミオとジュリエット」をだるまさんがころんだで、「マクベス」をイス取りゲームで構成するなど、大胆な演出で現代と古典を繋ぐ。時に激しい動きによる疲れや、アイマスクによる目隠しなど、俳優の身体にかかる負荷を取り入れる。
2011年の東日本大震災以降は、客席を設置せず舞台との区分けを無くし対観客、観客同士のコミュニケーションなど、観客の「観る身体」を作品に取り入れ、現代、現在を生きる人々をフォーカスしたアクチュアルな作品空間を創造する。

2011年5月にはフランス ジュヌビリエ国立演劇センターでのFestival TJCC に招聘。
2009年より韓国ソウルのソン・ギウン氏が主宰する第12言語演劇スタジオとの共同製作を毎年行い、2013年にはDoosan Art Center と両劇団の共同製作による、1930年代の日帝時代の朝鮮を背景にした『가모메 カルメギ』(原作アントン・チェーホフ「かもめ」/翻案・作 ソン・ギウン/演出 多田淳之介)が韓国で最も権威のある東亜演劇賞(第50回)にて作品賞、演出賞、視聴覚デザイン賞を受賞。演出の多田は演出賞を外国人演出家として初受賞する。

日本、東アジアを舞台に、個人から世界までを演劇の現前性によって発信する。

東京デスロック

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

1930年代、朝鮮半島の北部にある日本軍が゙駐屯している都市、亡くなった将校の息子と三人姉妹が住んでいる屋敷。息子は朝鮮の女性と結婚し、姉妹はいつか故郷である東京に戻ることを夢見ている。戦争へ向かう帝国軍人達の描く未来像、交差する朝鮮人の想い、姉妹達の日本への望郷の想いとは・・・

観劇のきっかけ

twitterでの評判が良かったので、の観劇です。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2020年12月18日
18時30分〜
上演時間190分(途中15分休憩)
価格5000円 全席指定

チケット購入方法

KAATのページから、チケットかながわ、経由で購入・クレジットカード決済しました。
セブンイレブンでチケットを受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は5:5。様々な年齢層がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

1日経っても、何を書いたらよいのかな、というのがまとまらない。少しスケッチ的な書き方の感想になってしまう。それくらい、強烈な3時間だった。

韓国併合にともなって、軍人の父に連れられて移り住んだ、三姉妹の物語。かつ、三姉妹をとりまく人々の群像劇。日本の事実上の占領と、その終焉に向けた退廃の中での、韓国での暮らし。そこに生きる様々な人々の思いを綴る作品。

KAATでの上演だったので、開幕早い段階で観に行こうかな…と思っていたのだけれど、「日韓二ヶ国語上演/日本語字幕付き」という記載があって、上演時間3時間という事もあり、足がすくんだ。舞台で3時間、字幕は辛いなぁ、と。実際字幕は、セリフの1/10以下で、むしろ韓国語、エスペラント語に補助的に字幕記載がされているに過ぎない。文字が早くて読み取れないケースもあったけれど、それが物語の理解に支障をきたすとは思えなかった。

チェーホフの「三人姉妹」という作品を下敷きにしているらしい。私は、この作品は読んだことも、観た事もないが、何の支障もなかった。簡単にあらすじを読む限り、確かに下敷きにしているのだろう。ただ、こちらを初見で見てしまうと、比較としてのチェーホフには特に関心を持つ必要はないように感じる。まあ、基作品を知っている人は、そこから理解の手がかりにすればいいのかな、とは思う。要は、チェーホフを知らない方が、よく観れる作品かもしれない。

四幕ある芝居の中で、常に内地…要は東京…を夢見ている三姉妹。いろんな見方が出来るのだろうけれど、私はどうも「帰ろう、帰ろう」と言っているのに、次の幕でも一向に帰らない、ゴドーのような存在に見えて仕方がなかった(作品的にはチェーホフの方が先だが)。新たに職を見つけたり、不倫にうつつをぬかしたりしている姉妹。韓国の地だという事も忘れて、現実逃避をしているようにさえ見える。地元に住む朝鮮人を無意識に差別しながら、自分の人生を嘆く。温いんだか、厳しいんだか、よく分からない世界。4幕目は、内地に戻った後の姿でも描くのかな、と思いつつも、そうはならない。

ラスト。韓国の国旗…これは確か、神羅万象全てを表していたと思うが…そこで踊る、韓国の人々。そこまでは、人々の生活や心情を中心に切り取ってきたのに、突如変わる風景。そして、次々と、戦争で出たガラクタを階下に捨てていく。このシーン、とにかく観ていて辛くて、悲しくて。

冒頭から、後方に吊り下げられていて、字幕やシーンの解説が表示されていたスクリーン。大部分の時間は、日の丸や旭日旗なのだけれども。その姿が徐々に歪んだり、溶けたりしていく。最後には捨てられた場所にかけられるスクリーンの布。第二次世界大戦に至る歴史の中で、日本はなんていう事をしてきたのだろうか…と、そんな単純な事に、ふと思いを馳せた。

KAATの大スタジオ、奈落があるのは知っていたけれど、ここまで効果的に利用したのを見たのは初めてかもしれない。加えて、空間の作り方、照明の作り方も美しい。途中「冬のソナタ」が流れたのには驚いたけれど、場転のシーンのポップな作りは、どこか古城十忍の芝居のような雰囲気を感じたりもした。

いろいろ書くも、なかなか核心の部分に触れられていない気もする。この後、何年も、何十年も引きずって、時折思い起こすことになる芝居。そんな風に感じた。