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【観劇レポ】きっとろんどん「首2」

#芝居,#きっとろんどん

【ネタバレ分離】 きっとろんどん「首2」の観劇メモです。

初回投稿:2025年11月28日 10時17分
最終更新:2025年11月28日 10時24分

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名きっとろんどん
きっとろんどん東京第2回公演
首2
脚本井上悠介
演出井上悠介
日時場所2025/11/27(木)~2025/12/07(日)
OFFOFFシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

札幌で結成された、脚本・演出 井上悠介、俳優 久保章太、山科連太郎、リンノスケによる演劇ユニット。2016年の旗揚げ公演「〜探偵写楽弥太郎シリーズ〜 kidnapping the rice ball」から着実に動員数を増やし、札幌演劇シーズン2020-冬 選出作品「発光体」では、結成4年目にして1,000人を越える観客を動員した。2021年には第7回公演「STAGE」で旧北海道四季劇場の観客を魅了する。2022年よりメンバーは東京に拠点を移し、札幌だけではなく活動範囲を広げた。ユニット名に由来はない。

きっとろんどん

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

2023年7月。生まれ育った故郷にて、日本中を震撼させる猟奇殺人事件が発生した。

しかも容疑者は同年代。

東京旗揚げ公演を終えたばかりの我々は、次回作の題材にしたら面白いだろうと思い、意気揚々と帰郷する。

時同じく。
メンバーの一人は超能力に目覚め、とあるメンバーは山中で念仏を唱えていた。

この演劇は全てフィクションである。

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きっとろんどんとは

2016年に北海道・札幌で結成された脚本・演出の井上悠介、俳優の山科連太郎、ダンサー兼俳優のリンノスケ、高校教諭の久保章太の4人ユニット。
都市伝説や事件を日常に落とし込む独自のジャンル“サイココメディ”を持ち味に、ダークでシニカルな作風で追い込まれる人々の人間性を描き出す。
旗揚げ公演から着々と動員数を伸ばし、札幌演劇シーズン選出作品「発光体」では1000人超の観客を動員。満を持して井上・山科・リンノスケの3人が上京、2023年6月に東京旗揚げ公演「概ねワシントン」を上演した。久保は高校教諭として現在も北海道に住み続けている。

「首2」は2年半ぶりの新作にして初のロングラン公演!

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2025年11月27日
19時00分〜
上演時間120分(途中休憩なし)
価格4000円 全席自由

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

きっとろんどん「首2」

2023年に札幌・すすきので起きた男性の頭部切断事件に着想を得て、その事件を演劇にしようと目論む、それぞれが何がしかの超能力が使える男4人のメタ視点な物語。犯行時の回想シーンを多く取り入れ、犯人と、精神鑑定に関わった医師なども含めた人々を描きながら、事件を少しナナメな切り口で再解釈しようとするフィクション。ストーリーを記載するのはちょっと難しいなぁと感じる。殺人シーンの再現などグロテスクなシーンも含みつつ描かれる。

団体初見。元々は札幌拠点の劇団。2023年に東京に拠点を移して再旗揚げしたとのこと。同2023年に劇団三日月座が上演していた同団体の作品「発光体」が超絶に面白かったので気になっていて、やっと観れた団体。劇団三日月座の「発光体」も同様だったが、本家のきっとろんどんも、小劇場にはとても独自なテイストな作品のように感じる。

全体的にはシリアスなホラーなテイスト。細かなギャグもあるが作品の本流ではない気もするので、コメディという分類はあたらず。…無理やり分類しようとすると「ホラーエンタメ系」に属してしまうのだけれど、それもちょっと違う気もする。好き嫌いは割れそうだけれど、それでもやはり「OFF OFFシアター」からスタートする、緻密な脚本に裏付けられた小劇場の客層が好みそうな作風。

今回の作品も、一時期ニュースになって誰もが知っている札幌・すすきの頭部切断事件がベース。大方がフィクションによる創造であることは言うまでもないのだろうけれど(…たぶん)、虚実の皮の微妙な急所とでもいうか「もしも、殺人を犯した動機がこうだったとしたら」みたいな繊細なラインを描いている。象徴的なのは、作品の中盤、隠しカメラがもしあったとしたら…という前提での殺人のシーン。第三者の「観察」を、ほぼ字幕だけで淡々と描くのが上手い。

ラスト。まさか殺人犯の女性が出てくるとは思わなかった(男だけの演劇115分ほどの後、出演時間わずか5分くらいの女優!)。「現実への想像の着地点」としてはちょっと歯切れが悪い。せっかくここで女を出すのだから…もう少し煽るような背筋が凍る結末でも良いような気はするものの(なので、満足度の星は4か5か迷った)。とはいえ。他では見たことがないテイストな作品であることは変わりなし。「発光体」で出会えて、その後気にしておいて良かったと思えた観劇だった。