観劇

【観劇レポ】第二懺悔会「乳母禁制の婦人科」

【ネタバレ分離】 第二懺悔会「乳母禁制の婦人科」の観劇メモです。

初回投稿:2026年10月31日 13時11分
最終更新:2026年10月31日 14時40分

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 第二懺悔会
題 乳母禁制の婦人科
脚本 甲斐敬識
演出 甲斐敬識
日時場所 2026/10/30(金)~2026/11/01(日)
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

2024年、甲斐敬識が立ち上げた演劇ユニット。「誰か≒私の罪」を上演する。

第二懺悔会

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

 ナース服に着替えている最中に被災したデリヘル嬢・萌香は、避難した廃屋で本当に医療に従事することになってしまう。果たして、彼女は身に覚えのない指名を全うすることができるのだろうか。

「落ちる瞬間にあたし、黒い太陽を見たんです」

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2026年10月30日
19時00分〜
上演時間 105分(途中休憩なし)
価格 3000円 全席自由

満足度

★★★★★
★★★★★

(2/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

乳母禁制の婦人科

ストーリーは、団体発表とタイトルから想像するものと少し異なった。東日本大震災は過去の出来事として認識しているある時間。また震災が起こって津波がやってきたようだ。津波から逃げてきた幼馴染の二人萌香(モエカ)とクミコは、少女時代に遊んでいた廃屋で津波の難を逃れている。途中で何かに挟まっていたのを二人に助けられた女性サエと、逃げていた大学院生の女性フタバも連れてきて避難していた。かつての廃屋はそのまま。携帯は途中まで通じず、放射線計は異常値を示している。サエは自宅に5歳の子供を残したままのようで心配し、夫は電力会社で働いていて安否確認の電話があった。ニートのクミコは、自宅の下敷きになった両親をあえて助けずに、この震災の機会を両親から逃げる機会にしたようだ。ストーリー紹介の通り、モエカはデリヘルで働いていてナース服を着ていたらしい。震災のあった日の午後、日が落ちるまでの時間の女性たちの語らいの物語。

団体初見。チラシを見ていたら目に飛び込んできた「あらすじ」の冒頭の3行のが、理解できるようでパッと理解出来ず、正確に意味を理解するのに3度ほど読み返して思わずニンマリ。…こんなシチュエーションを書ける作家ってどんな作品だろう。まだ学生劇団に近いように感じるものの、興味を持って観劇。結果的には肩透かしを食らった。

「震災」の津波から避難してきて、たまたま集まってしまった女性達。その生活の背景を描くことで、この4人の「生きづらさ」みたいなものを描いているのだろうと思う。たまたま女性が4人だったのか、あるいは4人の「女性」を主題に据えて描きたいのかは、どちらにも取れると思う。その4人の人間模様と同時に、東日本大震災より後に発生した別の地震と津波により、原子力発電所が問題を起こしている状況を描いている。

「いきづらさ」と「震災と」、どちらを描きたいのかが判然としないが故にどちらも中途半端で観ていて困る。震災をある種の日常を揺るがす「メタファー」として描き「生きづらさ」を中心に描きたいのであれば…「震災」がリアルすぎて邪魔。逆に同様の「震災」が起きた時の状況を描きたいのであれば、そんな緊急状態かつ似た状況を過去に経験もしている中で、こんな不自然な行動や会話をするはずがない…という疑問が尽きなくなる(スマホが使えるのが分かった時点で情報収集するでしょう)。劇団の紹介には「誰か≒私の罪」とあるので、どちらかというと「生きづらさ」がメインなのかな…と想像するのだけれと、やっぱり震災に関する端々の言葉が強すぎて、「そうはならんやろ」的なツッコミが止まらない。

仮に「生きづらさ」の方を主にしたと考えてみる。ある種の閉鎖的な空間の中での会話なのだけれど…その進行がどうにも解せない。初対面の人同士が会話するとき、相当に気を許したり覚悟を持ったりしないと出てこない言葉を、サラサラと弁論大会のように「悩み語り」し出してしまう。それ故にどんなに深刻な悩みでも、唐突過ぎるが故にどこかで聞いたステレオタイプに聞こえてしまう。震災の異常事態だから出てきた…という風に取れなくもないけれど…(両親を見殺しにしたという)隠したいことを表に出したり、(息子を助けに行きたいという)母性みたいなものを隠すには、それ相応の理由があるはずなんだけれどなぁ…。要は「生きづらさ」が物語の実感として伴って見えてこない。「乳母禁制の婦人科」というタイトルとの関連性も結局分からず。…気が付けば不満の多い観劇だった。

「あらすじ」の冒頭3行の設定は凄いのになぁ。でも、デリヘルのナース服って…一番安いタイプの「本物」か、あるいはサテンでテカテカしていたり度が過ぎたミニスカで安い布地の「なんちゃってナース服」か、どちらかが王道なんじゃないのかなぁ。あのナース服だとまるでエプロンフェチ専門店のように見えるのだけれど…たぶんそういう意図じゃないと思うのも残念。「乳母禁制の婦人科」というタイトルからだと、マジな医療現場に投入された印象を持つので…そういう場面の可笑しさと深刻さを観てみたかったのだけれどなぁ。

役者さん。クミコ役の清水綾乃の声がとても印象的。

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