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【観劇レポ】第63回 横浜市高等学校演劇発表会(2026年秋 高校演劇 横浜市 中央大会)

第63回 横浜市高等学校演劇発表会 (2026年秋 高校演劇 横浜市 中央大会)の感想です。

初回投稿:2026年10月25日 20時00分
最終更新:2026年10月25日 20時07分

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
名称 第63回 横浜市高等学校演劇発表会 中央大会
日程 2026年10月24日(土)25日(日)
会場 泉区民文化センター テアトルフォンテ
(神奈川県)

上演演目(観劇したもの)

上演順 学校名 タイトル 作 日時
1 県立横浜平沼高等学校 181 作:平沼の愉快な仲間たち 〇 10/24 10:00-
2 市立みなと総合高等学校 四畳戦争 作:だいじろーとAKIとマッキーとノ 〇 10/24 11:20-
3 横浜隼人高等学校 明日の音 作:ぬーと横浜隼人の仲間たち 〇 10/24 13:10-
4 中央大学附属横浜高等学校 とりでのむこう 作:寺越玄、潤色:三澤由芽 10/24 14:30-
5 県立横浜国際高等学校 ナンセンス 作:吉中真菜恵 〇 10/24 15:50-
6 浅野高等学校 【新釈】関ヶ原 作:永岡徹 〇 10/24 17:10-
7 県立光陵高等学校 雨のち晴れとなるでしょう 作:魚谷肴、潤色:長瀬靖幸 10/25 10:00-
8 橘学苑高等学校 呪信 作:小田切琴野 〇 10/25 11:20-
9 白鵬女子高等学校 だいたいみんな躍ってる 作:大竹ココノ、潤色:大野虎太郎 10/25 13:10-
10 県立市ケ尾高等学校 こっくりさんが消えるまで 作:岡島花乃 〇 10/25 14:30-
11 県立金沢総合高等学校 見送る夏 作:越智優、潤色:大槻紅都葉 10/25 15:50-

〇 創作

満足度の記載について

私自身の満足度を、個々の演目ごとに記載します。 「CoRich観てきた」に投稿している個人的な満足度と同じ尺度で表現しますが、大会なので順位が付くため、1点きざみの5点満点では表現できないので、小数点まで細かく書いてます。いつもの尺度との関係は四捨五入を意識しています。

感想(ネタバレあり)

上演順1.県立横浜平沼高等学校「181」

作:平沼の愉快な仲間たち  〇

感想

「主人公」の横に影が付きまとっていて、「起きますか?寝ますか?」などと日常の場面で選択肢を主人公に伝えていく。最終的にはそれは「自分自身の内面」が具現化したもので、選択肢を重ねることも、自分自身が想像できる選択肢の「外」に出ようとすることも、自分自身の選択でしかない…という事が表現されていく。
生徒創作。タイトルは「I&I」(アイ・アンド・アイ)と読んでいたような気がするが、上演校のアナウンスの時しか出てこず記載がないので間違っているかも。作品はとても面白く引き込まれた。セリフに嘘っぽさがないのが印象的。特に姉ばかり贔屓して妹をないがしろにしている…かに見える母とのやり取りが妙にリアル。内面を演じる人が、次から次へと変わる理由がわからなかったのだけれど、ラストで納得。生徒全員名義の創作たけれど、エチュードから日常の姿を「ままごと」のように再現して作ったのではないかなぁと感じた。劇的な演出がもう少し欲しい。他校がやっても面白そう。脚本どこかで公開したらいいかも。

満足度

(4.2/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順2.市立みなと総合高等学校「四畳戦争」

作:だいじろーとAKIとマッキーとノ 〇

感想

将棋部が廃部して四畳(?)ほどの部室が空いて。バドミントン部・バトン部・演劇部・ボードゲーム部・文芸部が、その使用権を争う話。
顧問創作…とあるが、おそらく顧問と生徒の合同創作のような気がする。世の中には、公平に決めることがそもそも無理な問題がある…ってのは良い題材だと思うけど、それをどう克服するのかに差し掛かると障害物競走的なのでお茶を濁された感。部の旗を後ろに並べているのがまるで国際会議で、国際的な問題への暗示を感じるのだけれど、後半のお茶の濁し方を観るとこちらの考え過ぎかなぁという気もしてくる。加えて将棋部員が残した手紙ってのもかなり唐突。前半の話し合いと繋がらない。通してみると消化不良な感が強く残念。

満足度

(3.0/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順3.横浜隼人高等学校「明日の音」

作:ぬーと横浜隼人の仲間たち 〇

感想

何故か延期されて開催される、合唱コンクールの前日の放課後。各クラスでは最後の練習が行われているらしいが、舞台面に展開するクラスには5人くらいしかいない。遅れてきた三人はどうやら、これまで全く練習に参加していなかったらしい。徐々に明らかになっていく、合唱コンクールを前にしてクラスが求心力を失ってしまった理由。なんとか深刻にならないように振る舞う面々と、それぞれが「電気を消して」モノローグのように語る真実とが交錯する。歌う側の視点で動画を撮影し、明日皆が合唱コンクールに出席してくれる事を願うお話。
創作。おそらく顧問と生徒の合同創作。とても良い作品で、ラストに向けてうっすら涙。何か事情があるのは匂わせつつ、会話の中でゆっくりと分かってくるクラスの事情と。訥々と、素朴な演劇だけどいいなぁ。利用している合唱曲はRADWIMPS「正解」。3番まで歌うのはちょいクドイ気もするけど、でも歌い出す前の台詞の通りフルで歌わないのも違う気もする。間延びとのバランスが難しいな。

満足度

(4.3/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順4.中央大学附属横浜高等学校「とりでのむこう」

作:寺越玄、潤色:三澤由芽

感想

男子高校の放課後のコンピュータールーム。生徒たちがLINEでやり取りし、夢中になっている女子高校生は、実は情報科の教師だった。進路や勉強、恋愛、やりたいこと――「なりすまし」をめぐる騒動の中から、彼らが普段は口にできない悩みや本音が浮かび上がってくる。「特別になりたい」「普通でありたい」という思いを抱えた男子たちを描くシチュエーションコメディー
既成本。調べてみると京都・洛星高校演劇部が2019年に上演した生徒創作作品で全国大会出場作品らしい。「男子」であることがキーポイントであるこの本。女子が多い座組で取り組んでうまく行くのかな、と思ったけど。客席の雰囲気も含めてすごく上手くいってたなぁ。この脚本を是非やりたい、って座組の強い想いかな。コンパクトに1時間、笑いながらも今の高校生の風景が切り取られていた。

満足度

(4.3/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順5.県立横浜国際高等学校「ナンセンス」

作:吉中真菜恵 〇

感想

日常の何気ない場面や会話を切り取りを演劇にしてるようなメタ構造にユルくはめこむ作品なのでストーリーの記述は難しい。
顧問創作。ここ数年高校演劇で見かけるようになった都立千早高校のスタイルを、かなりテンポを落として「ユルく」展開した作品ように…私には見えるが、作者側の意図までは分からない。昨年の神奈川県大会、関東大会でも同様のスタイルの作品を観た気がする。仮に、もしそういった作品を意識して作ったのだとしたら…残念だけれど劣化コピーだなぁという感覚。多分それらの作品って「観る側が楽しむ」要素が大前提なのだけれど、そのあたのの要素がスポイルされてる感。途中くらいまでは何が起こるのか期待してたけど、何も起こらないのがわかると一気に退屈になる感。魅せる工夫が必要。

満足度

(3.0/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順6.浅野高等学校「【新釈】関ヶ原」

作:永岡徹 〇

感想

銃刀法が改正されて、高校生が護身のために帯刀しても良い時代。関ケ原高校では、"石田三成"が生徒会長に当選して帯刀が認められていた。確かにいじめの件数は激減し剣道部の部員は増えたが、いつか殺傷事件が起きるのではないかという心配が指摘され、それが次の生徒会選挙の争点だった。そんな中、生徒会執行部のひとりの他校にいる彼女が斬りつけられて大けがをする。いよいよ廃刀派の"徳川家康"との生徒会選挙。それぞれの「正義」がぶつかる話。
生徒創作。面白かった!高校に帯刀令/廃刀令が出るなんていうかなりぶっ飛んだ設定を真面目に展開しつつ、最終的には「どちらの側にも正義があるが、ある一歩を踏み出してしまうとエスカレートしてしまう」という点が丁寧に描かれている。特に「刀はよいけれど、銃はダメ」という帯刀派の議論はかなり上滑りだと感じるのだけれど、そこまで踏み込んで語られているのが、なんとも現実世界の争いに対する笑えないアナロジーになっている。選挙管理委員会への圧力などのテーマも交え結果的には重いテーマなのだけれど、基本はシチュエーションコメディ。筋トレ好きの剣道部長がなんだかよく分からんけれど皆を筋トレさせていい味出している。私の席の近くにワザとらしく笑う客がいて面白いのに邪魔されて笑えない状況だったけれど(もしサクラなら逆効果なので止めた方がいいと思うが…)、その点を割り引いても、とても面白く笑って、しかも考えさせられる作品だった。昨年に引き続き男子のパワー全開で客席が沸いているのが、なんだかちょっとうらやましい。

満足度

(4.5/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順7.県立光陵高等学校「雨のち晴れとなるでしょう」

作:魚谷肴、潤色:長瀬靖幸

感想

父が宇宙飛行士かつ著名な研究者で、亡くなっていて。そこ影に苦悩しつつも夢を追いかける宙(そら)と、まだ夢を持てずにいる春香の物語。
既成本。作者の背景を調べてみたものの、上演歴は見つかるものの細かい情報が見当たらず。既成としてこの本選んでしまったか。。。という感覚。ん…登場人物が苦悩を「物語る」のではなく、「私、こういう事で悩んでます」と語り上げてしまう、いわゆる悩みの弁論大会モノ。苦悩を演じる事でテーマ性みたいなのは見え隠れするものの、演劇としては純粋に面白くない。昨年の中央でも感じたのと同様に、役者の技能が高く、カツゼツもよく演技も上手く基礎力あるのに、この脚本のチョイスは残念。

満足度

(3.0/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順8.橘学苑高等学校「呪信」

作:小田切琴野 〇

感想

どうやらイジメられて転校してきた男子。田舎の、クラスに4人しかいない学校。最初はクラスに馴染むのだけれど、去年のクラス名簿から消えた生徒がいる、らしい。気がつくとまたクラスで浮いて、イジメられる、、、のだけど。発信元不明の電話に出たら、本当に存在も消えてしまう話。
生徒創作。賛否両論ある作品だと思う。個人的にはすごく好きだった。作品の観方は複数あるように思うが、一つの見方として「イジメはダメ」みたいな事をストレートに語らず、一見ホラーに見える脚本に仕立てその怖さを「舞台で味わう」「表現」に昇華しているのが凄い。「SF」や「ホラー」作品って、現実を投影してる未来だったり、恐怖だからこそ共感を呼ぶので、今回の作品をどの程度ホラーと考えていたかは作者のみぞ知るだけれど、むしろもっともっとホラーホラーに振り切って描いても良かったかも、と思う。基本は朝の会と夕方の会と同じシーンの繰り返しなので、後半の「クドさ」がちょっと気になる。消えた後家族にも見えなくてどう一日を過ごしたのかとかとか…いろいろと細かい粗も見えたけど。現実の怖さをしっかりと「物語っている」のが良い。セリフの自然さも好き。最後列の誰も使わない机に、ひょっとしたら僕らにも見えない誰かが居たのかな。最後にあの椅子が倒れたりしたら、怖くてみんな鳥肌立ったんじゃない、とか思ったり。

満足度

(4.5/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順9.白鵬女子高等学校「だいたいみんな躍ってる」

作:大竹ココノ、潤色:大野虎太郎

感想

本家のユトサトリ。の再演を観ているので作品二度目。元は100分くらいの作品だと記憶。うまく60分に潤色していた。元の作品は、「オトナの女」なテーマを扱ったガチンコ会話劇。しかも完全に女優同士の「演技合戦」な様相もある。作品のテーマは保持しつつも、むしろ演技の巧みさを魅せる事に焦点を当てた作品のように思う。その作品を、高校生なりに背伸びした感覚で20代後半〜30代の女性の感覚を上手く捉えていたけど、演技力の観点でいま3つ、作品が求めているそれに及ばないなぁな感覚。まぁ本家を観ているからそう感じるってのはあるのだろうけれど。例えばラストの「ラブマシーン」のダンスは、各々のキャラクターの踊りの習熟度…超絶ダンスが上手い人と下手な人が、演技として存在居している…が求められる作品で。それに代表されるように演技への力点がかなり粗いかなぁ。

満足度

(3.7/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順10.県立市ケ尾高等学校「こっくりさんが消えるまで」

作:岡島花乃 〇

感想

中華街の片隅にある、「こっくりさんカフェ」的な場所に見えるが、劇中で店に関する細かい説明はない。偶然同じコックリ卓に集まった、、、高校の数学の先生、ハイスペック彼氏獲得を目指す20代後半くらいの女性、女子高生の3人が、たまたま同じテーブルでこっくりさんをする。その中で、それぞれの人生の悩みが見えてくるお話。こっくりさんや占いに聞いたって、結局は自分で考えなきゃダメだ、、、ということに気がつくのだけれど。「こっくりさんにカフェ」のちょっと滑稽なシチュエーションの中、ごく自然な会話と、基本はユルフワなシチュエーションコメディ的に笑いを交えて進む物語。
生徒創作。この変なシチュエーションを、とても自然な会話の物語にしたってだけですごいなぁ。訥々とした進行にも関わらずコメディ的でもあるので、会場から笑いが絶えない。もうこっくりさんに人生を訊ねている時点で、物語のテーマ的なものは見えてるから、最後面を切ってテーマを語る必要を敢て感じないけど。物語の枠組みの中で、笑って、感じて、考えてのバランスがとても良かった。演劇部の座組も最高。

満足度

(4.5/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

上演順11.県立金沢総合高等学校「見送る夏」

作:越智優、潤色:大槻紅都葉

感想

夏のひとときを共に過ごす受験間近の高校生たち。何気ない会話を交わし、スイカやまんじゅうを食べ、カレーライスを囲む。ありふれた日常が静かに流れている。しかし、そんな時間もいつまでも続くわけではない。ちょっとした会話に色んなものが垣間見れる青春群像劇。
既成作品。「 きょうは塾に行くふりをして」「夏芙蓉」など、全国大会での優勝作も書いてる越智優の作品だが、初演のデータがわからなかった。ガラケーが劇中に登場することもあり、おそらく2003~2004年ごろに書かれた作日ではないかと思う。既成本なので作品の良さはもちろんなのだけど。
昨年も感じた事だけれど、金沢総合高校演劇部、演技が超絶に上手い。昨年の「ひと夏の肖像」の記録を引っ張り出してみると、昨年スタッフだった子が代替わりして役者をしていて、しっかり成長してこの演技の上手さなのね。全体的には群像的なコメディなので、変にリキまないナチュラルさを出せるかがポイントだけれど。脱力した状態で演技が出来ているのが最高にいい。もうグルーヴ感だけ観ててもニンマリと引き込まれる60分。群像劇故に、他作品と比較した時にテーマを問われるとちょっと弱さも感じるけれど。でも元の脚本の「意図を組み込んで表現する」という点では、過去観た事ないくらいに凄い出来栄えだった。

満足度

(4.6/5.0点満点)

★★★★★
★★★★★

審査結果

  • 講評・審査結果は聞かずに帰っているので、この感想を書いている時点では把握していません。後々公式情報を見かけたら掲載、するかも。しないかも。

備考

  • 終演後、舞台上での審査員の幕間講評のスタイルは、昨年に引き続きなくなった模様。終演後、会議室で講評をするスタイルになったように見える。会議室には誰でも入れるようだが、中に入っていないので講評は特に聞いていない。生徒講評の名札を下げた人を見かけたので、会議室では審査員講評ではなく、生徒講評なのかもしれない。
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