<観劇レポート>KOKAMI@network「地球防衛軍 苦情処理係」

#芝居,#KOKAMI@network,#鴻上尚史

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名KOKAMI@network
KOKAMI@network vol.17
地球防衛軍 苦情処理係
脚本鴻上尚史
演出鴻上尚史
日時場所2019/11/02(土)~2019/11/24(日)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(東京都)

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

鴻上尚史が、さまざまな人たちと出会い、公演するために作ったユニットです。
毎回、メンバーは違います。鴻上の作・演出(場合によっては、演出のみ)で、
サードステージが制作するプロデュース・ユニットと言えます。

サードステージ

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

近未来。地球は異星人や怪獣の襲撃を受けていた。そして、人類を守るために地球規模で創設されたのが「地球防衛軍」だ。戦うエリート、人類の希望の星。けれど、光あるところ、必ず、陰がある。地球防衛軍が怪獣と戦った結果、さまざまな場所で壊滅的な被害を受けた住民達が抗議の声を上げた。
「私の家は、怪獣ではなく、地球防衛軍のミサイルでやられた。弁償してほしい」
「怪獣を私の家の方向に誘導したのは、地球防衛軍だ。許せない」
苦情処理係は、毎日、住民達のクレームの処理に追われていく。苦情処理係は悩む。私達は人類を守ろうとしているのに、どうして、住民は文句を言うのだろう。住民は守られることが当然だと思っているのだろうか。数々の疑問を飲み込みながら、苦情処理係は、活動を続ける。それが人類のためになると信じて。人類の苦情を引き受け続ける。そんなある日、ハイパーマンが現れた。

観劇のきっかけ

鴻上さんの作・演出と、チラシとタイトルがあまりにもキャッチーだったからです。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

観劇日時2019年11月6日
19時00分〜
上演時間125分(途中休憩なし)
価格8900円 全席指定

チケット購入方法

ローソンチケットのサイトで予約し、クレジットカード決済をしました。
発行された情報を基に、ローソンのお店で発券してもらいました。
https://l-tike.com/play/mevent/?mid=470242

客層・客席の様子

ジャニーズの役者さん目当ての若い方から、普段はあまり劇場に来なさそうなものすごくシニアな方まで、幅広い年齢の方がいました。若干、女性の方が多かったような気がしますが、4:6位でしょうか。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・考えさせる
・正義
・SNS
・ダンス

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは、事前記載の通りだが。少し突っ込んで書くと。
ウルトラマンのような姿をしているハイパーマンは、実は苦情処理係で働く職員、深町航がその正体。宇宙防衛軍?の一員として、地球を守るために派遣されてきたのだ。一方、苦情処理係にアルバイトとして就職してきた女性、日菜子も、実は異星からきた宇宙人だった。自らが住む星が環境汚染されて、新しく移住先を探す任務のために来たのだ。ハイパーマンは、怪獣との戦闘をすれば、戦闘で尻もちついた所に住んでいた人が死んだと、人間たちに批判され。自分が本当に正義のために戦っているのか分からなくなる。加えて一夜を共にして恋に落ちた日菜子から、実は地球に怪獣が襲撃するようになったのは、宇宙防衛軍が原因で、人々の悪意が形として現れるようになったからだ、という事を深町に教える。自らの星の移住を果たすために、一緒に地球人を滅ぼしてほしいと懇願する日菜子、自らの倫理観から、それが出来ない深町。そして、2人の職場である、地球防衛軍 苦情処理係の人々。彼らを取り巻く、「正義とは何か」を問う物語・・・と強引にまとめるとこんな話。

ジャニーズ所属の俳優も出演しているので、いろいろな客層が客席にいた感があったが、キャストの座組としては、とてもバランスが取れてて、いいグルーブ感に思えた。そんな中の、鴻上尚史の久々の新作戯曲。

「空気を読んでも従わない」など「不死身の特攻兵」最近の鴻上さんの著作は、ほぼ読んでいたりする。また鴻上尚史は、1990年代の作品から、パソコン通信に代表されるような「オンライン」の世界がユートピア、というテーマを描いてきたのも、私自身、若い頃から読み重ねてきた。今回のテーマになっている「ハイパーマン」や「苦情処理係」は、その「オンラインでの人の繋がり」が具現化し、また、インターネットやSNSが実際に生活の一部になっている、現代へのメタファーでもあり、問題提起なのだろうとは思う。その意味では、正義の組織にも、苦情処理係がいる、という掴みの設定は、とてもキャッチーだったし、チラシの「ヒーローもの」的な物々しさからも、「ああそういう話なんだろうな」という予想はある程度していた。要は「期待値」を高め過ぎたのが問題だったのだろうか。劇中出てくる「メタファー」的な存在が、私には予想通りすぎて、あまり裏切られる事なく芝居の時間が過ぎてしまった、という感覚。「ああ、ああなんだから、そうなるよね」という感覚。どこか物語が予定調和的な感覚があった。

加えて「怪獣は人類の悪意が集まって具現化したもの」的な比喩の設定。う~ん、言いたい事はよく分かるけれど、その設定、イチイチ説明しないとダメなのかなぁ、という感覚があり。メタファーのようで、メタファーになっていないよな、という感覚(あるいは、元々メタファーにするつもりはないのかもしれないけれど)。そんな風に、割と予想どおりな「正義」と「クレーム」のお話だったこともあり、自分の中では、物語への意外性みたいなものをほとんど感じられずに、演劇的な物語の面白味をあまり感じないまま、終演してしまった。鴻上尚史の著作を最近知った人には、このようなテーマ自体が新鮮で、ひょっとしたら刺激的だったのかもしれない。

一点。第三舞台的というか、鴻上芝居的だな、と思ったのは。ラストの深町と、日菜子の戦いのシーン。それまでの戦闘シーンとは打って変わって、日本語のバラード(曲名分からず)での戦闘シーン。怪獣の2人と、実際の2人が、シンクロしながら戦い。ああ、この「おもろうて、やがてかなし」なのイイよな、と思て、うっすらと涙した

気になった役者さん。駒井蓮、初めて知りましたが、ちょっとボディコンシャスな衣装も相まって、何だか惚れてしまう感じの魅力でした。緩急の自在さはとても好き。矢柴俊博、よくお見かけするけれど、本格的には初めて見た。ドラマ「のだめカンタービレ」の、先生役の演技がとても印象に残っている。感情の表現を、自然な表現の流れで、あそこまで沸点高められるのは凄いなぁ。
一緒に観た友人(前提知識、ほぼナシの人)が「演劇なのに、ダンスがとても魅力的だった」との感想。確かに。スタッフ一覧をみれば、振り付けは、川崎悦子。納得。

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