<観劇レポート>東京演劇アンサンブル「おじいちゃんの口笛」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 東京演劇アンサンブル「おじいちゃんの口笛 」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 東京演劇アンサンブル |
冠 | こどもの劇場 入江洋佑追悼公演 |
題 | おじいちゃんの口笛 |
作 | ウルフ・スタルク |
訳 | 菱木晃子 |
脚本 | 広渡常敏 |
演出 | 三木元太 |
日時場所 | 2020/09/23(水)~2020/09/27(日) シアターグリーンBOXinBOXTHEATER(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
21世紀の初頭にあたって、東京演劇アンサンブルは人間の精神に問いかける演劇運動を展開しつづける。演劇が物語を語る道具ではなく、目的のための思想の伝達手段でもないことは、20世紀の演劇をつうじて確かめられたことであると、我々は考えている。
演劇は、作品をつくる過程のなかにこそ生まれる。作品行為こそ、人間の精神に揺さぶりをかけ、時代状況に切り込める。それは俳優が劇場の舞台に立ったとき観客とともに生み出すものである。そのような「瞬間」に生きる「俳優」に賭ける舞台は、まさに20世紀の日本の新劇運動の歩みを最も創造的に継続するものだ。
日本の演劇が、伝統演劇から現代演劇まで、ますます多様化しているなか、広渡常敏と東京演劇アンサンブルの仕事の個性は、際だった道を辿っている。商業主義の蔓延した日本の演劇界の流れのなかで、ひたすら自身の求めた演劇の理想を追求することが、多くの観客に支持され、劇団内部の活力の源泉ともなっていくことを創立以来実践し続けている。
21世紀、東京演劇アンサンブルが中心に据える仕事は、既に前世紀のものとして捨てられようとしている“革命”の精神をとらえ直すことである。変革への憧れと自身への戦いなしに人間はない。演劇の言葉が革命を語るのではなく、「言葉を語ることとその言葉を受け取る瞬間が革命そのものであるような演劇」が、本当に自由な人間の精神をつくりだし、人間が生きる状況をつくりだす。世界を動かすエネルギーとなるような演劇を、広渡常敏と東京演劇アンサンブルは求め続ける。
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
ある日ベッラは、ウルフのおじいちゃんの話を聞いて、
自分もおじいちゃんがほしくなってしまった。
そこで、おじいちゃんがたくさんいる老人ホームに向かい、そこで、
ニルスというおじいちゃんと出会った。
「ぼくのおじいちゃんになってくれませんか?」
その日から、ニルスとベッラは、おじいちゃんと孫になった。
おじいちゃんは孫ができたことを喜び、ベッラも初めて出会うおじいちゃんを探検する。
食堂でコーヒーをごちそうになったり、おこづかいをもらったり、とても高級なハンカチを使って
凧上げをしたり、そして口笛の吹き方を教えてもらったり・・・。
ある日、二人はとてもステキな思いつきをする。
おじいちゃんのための誕生日パーティーを開くことだ。
トーラのおばあさんも誘って、真夜中のパーティーを内緒で計画した。
パーティーの日には、おじいちゃんのひげを剃り、老人ホームを抜け出して、
サクランボの木に登ってサクランボをこっそりもらって、種飛ばしをしたり
しそを食べたり、葉巻を吸ったりした。
そしておじいちゃんは孫のための歌をうたいだした。
おじいちゃんとの別れの日、ウルフとベッラは最後のお別れに訪れる。
「二人でおじいちゃんにお別れの歌をうたおうと思うんだけど、いいかしら。
これ、おじいちゃんがきっと喜ぶと思うんだ。二人で考(かんが)えたんだ、よく眠れるように・・・・・・。」
そう言って二人は、おじいちゃんのために歌うのだった。
観劇のきっかけ
スケジュールを見て、観劇を決めました。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2020年9月23日 19時390分〜 |
上演時間 | 75分(途中休憩なし) |
価格 | 2500円 全席指定 |
チケット購入方法
カンフェティのサイトで予約しました。
サイト上でクレジットカード決済をしました。
セブンイレブンで、予約番号を伝えてチケットを受け取りました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。
男女共に、ミドルからシニア層が多い客席でした。
私が客席を見たかぎり、子供は一人もいませんでした。
観劇初心者の方へ
子供でも、観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・童話
・泣ける
・笑える
・考えさせる
・シンプル
観た直後のtweet
東京演劇アンサンブル「おじいちゃんの口笛 」75分休無。
子供も観れる演劇だけどすごくよかった!淡々と語られるストーリだけど、深くて。一つ一つがキラキラして。見えないはずのものが舞台に見える芝居だった。もっと子供の頃観たかったよ。意味がないけど大切なものが、人生にはある。超オススメ! pic.twitter.com/EiNvIYnHx6— てっくぱぱ (芝居が好き・映画も好き) (@from_techpapa) September 23, 2020
映像化の情報
情報はありません。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、事前記載の通り。ハッキリさせるために書くならば、誕生日のお祝いの後、おじいちゃんは死んでしまう。「おじいちゃんとは何だろう」という素朴な疑問から始まり、おじいちゃんの死で終わる、淡々とした、童話のような、絵本を1ページずつめくりながら読み聞かせられるような、そんな、子供でも分かるように作られてる演劇。
この芝居を選んだ時の事を白状すると、、、、正直ちょっと興味本位だった。シアターグリーンで子供向け演劇とは何だろうか、との、興味本位。実際芝居自体は、子供向けに作られたお芝居なのだが、客席に誰一人子供がいないので、ちょっと違和感。騙されたかなぁ、みたいなことを思ったけれど、さにあらず。作品自体は、子供にも分かるし、かつ、大人にも味わい深い作品だった。
子供にも良く分かるように、平易でゆっくりと語られるセリフ。にもかかわらず、一つ一つの言葉が、鋭い。言葉というより、そこから発せられる疑問とか、行動が、とても鋭い。大人の私でも「そう来るか〜」という思いが先立つのだから、子供がこの展開を見たらどう思うのだろうか。案外、普通に「納得」受け入れてしまうのだろうか、とか、そんな事を思う。例えば「ボランティアだと思われたらどうしよう」っていうセリフが、実はかなりドキッとした。物語を側から観ている大人だとそんな事は思わないけれど、自意識の境界がはっきりしない子供なら考えそうだな・・・と。でも、実際、大人の自分が当事者になったら、同じような自意識に、実際は悩むんじゃないか・・・みたいな微妙な感情が表現されているのがいい。
役者の表情も、分かりやすい。しかも、一言では言葉にできないような感情を、表情に正確に起こしている感覚。特に主役二人、ベッラとウルフの表情が、何とも言えず繊細に変化するのが面白い。セリフがない時でも、この子は今何を考えているのだろう、なんていう疑問を、表情からだけで想像をめぐらせてたどり着くことができて、味わい深い。
暗転が多いのが少し気になったが、暗転が明けると舞台に面白い変化があるのも楽しい。開演前は、公園のベンチみたいなものが置いてある舞台だが、冒頭の暗転後、まさかシーソーが舞台に出てくるとは思わなかった。この驚きだけでも、舞台に引き込まれてしまう。懐中電灯をつかった木登りのシーン。暗い中、ほぼ客の想像力だけに任されているのに、余すところなく3人の木登りが想像できる不思議な感覚。
ラスト。「意味がないけれど大切なものが、人生にはある」と、誰にでも分かるようにテーマが語られていて。もちろん、何も言わなくても十分に伝わっているとは思うけれど、いろんな子への配慮だろうと思う。子供の頃、小学校高学年に、この舞台を観たら、自分は何を思っただろうか。作品のテーマはもちろん、テーマ以上に、そんな事に想いを馳せる時間だった。
終演時の挨拶で、元々おじいちゃん役をやっていた役者さん、入江洋佑が昨年亡くなったので、その追悼公演の意味合いがある、との説明があり。当日パンフを読むも、この演目の歴史、みたいなものは記載が見当たらず。きっと、劇団のレパートリーとして長く上演されている作品なのかな・・・という事を想像した。詳細までは分からずだが、感動には変わらず。
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