<観劇レポート>MCR「女がつらいよ」

#芝居,#MCR

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 MCR「女がつらいよ」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名MCR
MCR EXPO'20W
女がつらいよ
脚本櫻井智也
演出櫻井智也
日時場所2020/12/02(水)~2020/12/13(日)
OFFOFFシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

MCRは1994年に脚本・演出の櫻井智也(ドリル)を中心として、当時同じ演劇の専門学校に通っていた数人により結成されました。
コンスタントに年2~4本の本公演を重ね、本公演22回を数えます。
また、本公演以外でも主宰ドリルによるプロデュースユニット「ドリルチョコレート」公演、第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの最終予選会出場、各種企画公演への出演等を本公演の間に積極的に行っており、それらを総合すると年に2~5本、計40余公演を上演しております。

MCR

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

MCR、色々あった今年の終わりは下北沢OFFOFFシアターにてMCR EXPO’20Wと題して「女がつらいよ」と「パンダが降る日」の2演目を開催します。
今年は5月の公演が中止・延期になりまして、それはまあ、致し方ない事ではあるのですが、致し方ないと理解しながらも日々膨らむ得体の知れないモヤモヤに侵食され、あれだけ待っていた「やっていいよ」と言う号令を前にして「そうは言うけど、なんにも出来ないです」な状態になっていました。
なので、正直なところ、ここに来て活動を再開することに対して、感染リスクなどを考慮した上の「やって良いんだろうか」という不安とは別の「俺はまだ、出来るんだろうか」という懸念もあるんですけど、よくよく考えてみればですね、「お前はじゃあ、出来ていたんですか?」って言われたら「ああ、そうですね、何様だよって発言でした」というところに行き着きまして、がむしゃらに、なんだろう、出来てるか出来てないか分からないけどやってみる、やってみたい、俺はやる!ついて来い!までに回復したと信じ込んでいるので多分大丈夫だと思います。
作品の説明をしますと、まず「女がつらいよ」は2011年に上演した作品の再演になります。
様々なコンプレックスを抱えた42歳の女性が年下の彼氏と付き合ってるんですが、どうにもその彼氏が殺し屋っぽい、多分、おそらく、いや、間違いなく殺し屋なんだろうけど大好きだし、彼氏も私のことを大好きっぽいけど、彼氏がギリギリのところで正体を明かさないので私も彼氏の気持ちをギリギリのところで信じられなかったりするお話です。
今回は主人公の女性の設定を若い女性に変えまして、装いも新たにお送りしようかと思っております。
「パンダが降る日」ですが、こちらは2017年に上演した「私が漫画家になっても」という3人しか出てこない作品を大幅にリライト、初演の登場人物3人にそれぞれ「お相手」を付け加えまして、期せずしてディストピアになってしまった世界の中で繰り返す諸行無常、変化を変化として認めきれない排他的ユートピアにいた僕らの「負けないでって言われても、負けちゃう時は負けますよ」という感じの愉快なお話です、大丈夫、愉快です。
まあ、そんな感じのMCR EXPO’20Wですが、なんでしょうね、クソみたいな一年の師走に「まあ、あれだよね、クソみたいな一年だったけど、悪いことばかりでもなかったような気がしないでもないな」と思っていただけるように頑張りたいと思っております。
よろしくお願いします。

観劇のきっかけ

好きな劇団です。

過去の観劇

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2020年12月2日
19時30分〜
上演時間105分(途中休憩なし)
価格3000円 全席自由

チケット購入方法

劇団ホームページからのリンクで、Livepocketというサイトでチケットをカード決済で購入しました。
チケットをスマホアプリに取り込んで、当日QRコードを表示させて読み取ってもらい入場しました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。
40upの方と、若い方二極に分かれていたように感じました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・コメディ
・泣ける
・笑える
・会話劇
・考えさせる

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

コロナ後の観客席って、どこか笑を抑制しているような、独特の感覚があるのだけれど。久しぶりに笑いまくった。ちょっとズレた感覚を持った登場人物の、些細な言葉のやり取りが面白い。いつものMCRの感覚だけれど、先月観たスズナリの作品よりも笑いが多い感覚。OFF OFFシアターで、客席との距離がとても近い事が、グルーヴ感を出していたのかもしれない。

笑っているだけでも、楽しめる作品だけれど。テーマは鋭い。描かれているのは、「愛」・・・ちょっと言葉にするのが恥ずかしいけれど、突き詰めると「自己愛」の話なのだと思う。主人公、さえ、の自意識のセリフが実はまどろっこしい。「大好きだ」と言ってくる彼に「その言葉を信じていない。というか、好きだというあなたに見える私が私だとは私は信じていない」(うろ覚え)みたいな、自意識全開のセリフが、ループして何度も続く。まどろっこしいのに、どこかボーイッシュな雰囲気もある川久保晴の演技がとてもサラサラしていて、その感覚がいい具合に打ち消されている。自意識ループしつつも、堀靖明とのラブラブな感じもいい。

ガンで余命宣告される事で、好きな相手を自分の中から追い出す。それでも、追い出した彼は消えなくて。むしろ大きくなっていくような気もする。何とか「組織」から足を洗った彼との会話。返り血を浴びて重症なのに、やはりどこか自分向き。でも、嫌な感じが全くない。結局人は、自分自身しか見えていないし、それでいいのだ、とも思えてくる。そういう厳しい優しさみたいなものに溢れている眼差しのような、そんな作品だな、と思った。

役者さん。川久保晴、とにかく愛おしくて、魅力的。全編ほぼ出ずっぱりで、彼女の魅力を追いかけ続ける100分、という観方もできる作品かなと思う。強い女性なのに、愛おしさを感じる。ありそうでなかったタイプかも。堀靖明、「コンプソンズ」や「桃尻犬」で何度か拝見している役者さん。緩急自在。必死にしゃべっている時の、裏返るような声がとても好き。

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