<観劇レポート>SWANDIVE×モミジノハナ「夏じゃなくてお前のせい」

【ネタバレ分離】

観た芝居の感想です。
当日の写真撮り忘れました!


公演前情報

公演・観劇データ

団体名 モミジノハナ
SWANDIVE×モミジノハナ
夏じゃなくてお前のせい
脚本 野花紅葉(モミジノハナ/劇団てあとろ50')
演出 野花紅葉(モミジノハナ/劇団てあとろ50')
日時場所 2019/07/26(金)~2019/07/29(月)
早稲田小劇場どらま館(東京都)

劇団紹介

劇団twitterにはこんな紹介があります。

野花紅葉主宰の個人演劇ユニット / 紅葉の花のような「普段身を潜めている美しくないもの」をテーマに、それを否定しない演劇を上演します。

モミジノハナ(@momiji_nohana)さん | Twitter

事前に分かるストーリーは?

チラシ裏面には若干の記載がありますが、
データになったストーリーは記載が見つかりませんでした。

観劇のきっかけ

よく参考にさせていただくtwitter上の観劇好きな方の感想が気になったての観劇です。


ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時 2019年7月27日
19時00分〜
価格 1500円 全席自由(事前にネット予約)
上演時間 80分(途中休憩なし)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★★☆(4/5点満点)

客席の様子

学生さんかな?の若い人と、私くらいのシニアな観劇好きが、6:4くらい。
男女比は4:6くらい。
一人で来ているお客さんが多かったのか、開演前の客席は、割と静かでした。

観劇初心者の方へ

性に対する表現に、反射的に嫌悪してしまう方は、観劇を控えた方がいいかもしれません。ただ、ものすごく過激な表現がある訳ではないですので、基本は安心して観劇出来ます。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは・・・。
4つのカップルの、男と女、愛と性とが、交錯する物語。1つ目は、普通にオナニーは出来るのに、なぜか彼女の前では勃たない「彼女の前ではED君」。気分を変えたらとラブホに来てみたが、やはりうまくいかない。気が付けば高頻度ラブホに来て、彼女から「ラブホは治療」と言われてしまい。EDに格闘する二人の話。二つ目は、チャラい「イケメン君」。ナンパしてラブホ連れ込んでやり放題だけれど、気分転換にちょっと地味な処女の女の子をナンパして連れ込んだら、そのまま勃たずに出来なかった。でも、なぜかその子に恋愛として惹かれていくイケメン君と、裏腹に、はやく最後までしてほしい、セックスしてほしい、と思っている地味な女の子の物語。三つ目は、予備校の先生。教え子に手を出して、浪人中の彼女がいるのに、同僚の先生と酔った勢いでセックス。そのまま逢瀬を重ねるようになって、浪人中の彼女を振るお話。四つ目は、フラれてしまう「浪人中の彼女さん」の視点からのお話。
「彼女の前ではED君」「イケメン君」「浪人中の彼女さん」は、実は同じラブホの清掃員。休憩時間に、それぞれの性の悩みを問わず語りしながら進んでいく物語・・・と、強引にまとめるとこんなお話。

主催の劇団は、分類として学生劇団・・・、と書かれていたのだが、全員学生かはともかくも、若い人が中心の劇団なのは間違いないかと思う。性に対して、ここまでストレートに、しかも深刻になり過ぎずに描くストーリーは、演劇として観ていてとても爽快だった。変に下品になり過ぎる事もなく、とはいえ変に隠すこともなく、ちゃんと、魅せるところを魅せている舞台を、興奮しながら楽しめた・・・という素直な感想は、大前提のベースとしつつ。

結局のところ、男と女が愛する時、そこにはいろんな個性や、問題や、求めるものの差や、嗜好がある、という事なのだろうとは思う。そのいくつかのパターンを、登場人物の動きの中で見せてもらった、と感じる面が強かった。「彼女の前ではED君」「イケメン君」は、愛する人が目の前にいるも、共に勃たない、という問題を抱えている。その中で、勃たなければ恋愛じゃないのか、勃つのが恋愛なのか、体から入る恋愛があってもいいのか、心が先なのか、、、コスプレで勃たないのはいいのか、悪いのか、勃たないのは、どちらのせいなのか・・・などなど、考え始めると、頭の中はぐるぐる。ただ、おそらくその答えは、人によって意見が違う、個人的な問題、なのかもしれないし。この作品は、作者が捉えた、起こり得る問題の、パターン的なものを直視する、という意味では、とても良い作品だと思う。

そこで強烈に思うのが、この芝居には、若い人しか出てこない事への不満。40代・・・私と同年代や、更に上の世代の人は、どのような問題に直面するのか。この描写がないと、おそらくは片手落ちになってしまうのではないか。観ていて、芝居としては楽しみつつも、強烈な欠如を感じたのは、その点だった。端的に言えば、20代で悩んだ事柄は、30代、40代で解決している事もある。いや、人間の性、を直視したとき、解決しなければいけない問題なのかもしれない。

もちろん、あるパターンを出したかった!、というのであれば大成功なのだけれども、それだと演劇としてはあまり面白みがない。むしろ作者は、ある性のパターンを通して、それを超越した何かを、体を張って語ろうとしているのではないか、とも受け取れるからだ。そうだとすると、この提示の仕方だと、とても弱い、と感じてしまう。

提示された事柄や問題は、人間が歳を経ていく過程の中で「それぞれの」答えを見つけなければいけない事、なのだと思う。性の答え、愛の答えは、人それぞれ。性欲や愛情に、何を求めるか、お互いがどう絡み合うのか、絡み合う事を望むのかは、結局のところ一人一人の問題だからだ。一般的な答えなど、そもそもない。あっても、役に立たない。だからこそ人生をかけて、その答えを見つけるのだし、それが人生の一部だと、観ていて思った。

若い今、性にどのような問題が起こるのか、という事をパターンとして提示するのは悪いことではない。それは、若い人には届くかもしれないが、演劇全体としては少し物足りなさがある。作者としては、「性の悩みの博覧会」にすることが、この作品の目的ではないような気概も感じる。40、50代、あるいはそれ以上で、この問題がどう変化していくのか、何をどう解決し、何は解決しないのか、という事を、想像力で補って表現するか、あるいは、作者が40・50代になった時に、その時の問題に再度向き合うかが、必要なのではないかと思う。

作者が描きたい事を勝手に思って、その上足りないものを指摘しているような気もするが、そんな欠如の感覚を、逆に作者に問いかけたい作品だった。

そんなことを考えつつ、だったので、ケラリーノ・サンドロビッチ(ナイロン100℃)「男性の好きなスポーツ」、 溝口真希子(ポツドール)「女のみち」、鴻上尚史「ものがたり降る夜」、あと、スタンリー・キューブリック「アイズ ワイド シャット」などを思い出した。

気になった役者さん、直球勝負で凄いな。野花紅葉、前評判でうかがっていた通り、本当に目の離せないタイプの方。次回作、当然、待ちますとも。あのナース服は、反則。兼本得義、勃たない切なさというのか、あの焦りみたいなのは非常に現実感があり。後関貴大、イケメン君の戸惑いみたいなのが、結構切実だったなぁ。片山さなみ、彼女に現実味があるかどうかで、物語全体の重みが変わってきそうだけれど、実はタカユキの事を好きなわけじゃない、っていうのが全編にじみ出ていて好演。中村涼佳、女の人は怖いねぇ、計算しているねぇ。宮部大駿、情けないけれど、ああなっちゃうのは分かる。月島れお、女の人は怖いねぇ、なぜ切れるのか、観客もよく分からないんだけれど、あのよく分からなさが、怖くて。

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チラシの裏