<観劇レポート>ゆうめい 「姿」(2021年再演)

#芝居,#ゆうめい

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 ゆうめい「姿」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名ゆうめい
芸劇eyes
姿
脚本池田 亮
演出池田 亮
日時場所2021/05/18(火)~2021/05/30(日)
東京芸術劇場シアターイースト(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

舞台作品・美術・映像を制作する団体として2015年に設立。

自身の体験や周囲の人々からの「自分のことを話したい」という声を出発点として、生々しくも多種多様に変化していく環境と可能性を描き、その後、表現によってどのように現実が変化したかを「発表する」までを行う。

表現と発表をし続けることによって生まれる他者との共鳴と反発を繰り返し、現実に新たな視線や変化を見つけることを目指している。

ゆうめいの由来は「夕と明」「幽明」人生の暗くなることから明るくなるまでのこと、「幽冥」死後どうなってしまうのかということから。
「有名になりたいから“ゆうめい”なの?」と普段思われがちの名前から、由来のように「物事には別の本意が存在するかもしれない」という発見を探究する。

ゆうめい

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

2019年に三鷹で描かれた、公務を担う母と定年を迎えた父の別れ。
女と男、妻と夫の、過去から今から次へのお話。
実話を基に子が脚本を書いて演出し、父も出演する池袋での再演。

" 「MITAKA “Next” Selection 20th」に選出され、三鷹市芸術文化センター星のホールにて2019年に上演された『姿』。
作・演出の池田 亮の体験と親族や周囲の人々への取材に基づき描かれる物語に、実父である五島ケンノ介が出演し話題となり、口コミで連日満員を記録、TV Bros.ステージ・オブ・ザ・イヤー2019に選ばれました。

 その『姿』がこの度「芸劇eyes」に選出され、東京芸術劇場にて再び上演されます!
 変化した2021年の出来事を新たに描きながら、実写・アニメ・YouTube問わず映像での活動により培った手法とドキュメンタリー的手法、演劇的手法を交えた演出の元、初演を作り上げたキャスト、スタッフに加え、今回から参加する新キャスト、スタッフとともに、家族の今までとこれからの物語を再び立ち上げます。

 “ゆうめい“の記念すべき東京芸術劇場初進出、ご期待ください。"

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年5月20日
13時00分〜
上演時間120分(途中休憩なし)
価格3500円 全席自由

チケット購入方法

ローソンチケットで購入、クレジットカード決済しました。
ローソンのロッピーで、チケットを発券して受け取りました。
当日、チケットに記載されていた整理番号順に入場しました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。様々な年代の人がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・考えさせる
・シリアス
・母

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

2019年の初演を観ている。当時、チラシは手にしていたものの、特に観に行くつもりはしていなかったのだけれど、口コミで評判が広がって話題になりまくっていたので、急遽観に行くことにした。観に行ってよかった。重い重い感覚を残した作品だった。そして、再演。

物語には、一部「コロナでリモートな今」を取り入れ、微妙に初演から加加わった要素があるものの、基本は初演と大きく変わっている部分は無かったように思う。先日再演で観た、iakuの「逢いにいくの、雨だけど」。この作品も、三鷹で上演されて、評判を呼んで、先日再演した。ゆうめいの「姿」も、同じような感覚に陥る事を想像していた。つまり、まだ冷静に観れないかな、と思ったのだけれど。しかし実際のところはiakuとは異なり、かなり冷静に、突き放して観ている自分がいたのが驚きだった。

初演の時の感想にも書いているが、この物語は「母を理解する過程」の物語だと思った。母に対して、愛情を求める自分の状況を、母の生い立ちと、自分の生活とを丁寧に切り取る事で、なんとか父と母の離婚、父と母の関係、そして母の事を理解しようと試みた物語。しかし再演で観ると、当然全ての物語を知っているからか、「母を理解する」という全体像は変わらない中、少し冷静に引いた視点で、1つの…あるいは4つくらいの物語がそれぞれ独立して見えてきた。例えば、祖母の物語。初演では「母がどうしてああなったのか」という理解のためのトレースのように見えたのだけれど、再演では祖母の物語そのもの、競馬好きの夫とは、どういう関係だったのか、みたいなものを、描かれている事実の余白から、ふと想像するように捉えている自分を発見した。

同じ物語を2度目だからか…初演の時に2度観ていたら同じことを感じたのか、あるいは再演では、元々淡々と描かれるこの物語が、更に淡々としている…要は演出が変わっているのか、どちらなのか、何とも分からなかった。再演から観た人が、どのような感想を持つのか気になった。

モー娘。の「ハッピー・サマー・ウエディング」。この作品では、この曲が一つのキーポイント。母に対する父の気持ちを、どこか蘇らせるように追体験させてくれる曲だけれど。…開演前にトイレに行ったら、客席から吹奏楽版の「ハッピー・サマー・ウエディング」が聴こえてきた。実はその時まで、この曲の事を忘れてしまっていたのだけれど。ふと体が、ビクっ、となって、父が盆踊りのように踊る姿を思い出す。…開演前なのに。劇中の曲の登場シーンも、あんなに物悲しくて、そして可笑しい「ハッピー・サマー・ウエディング」はないけれど。ふと、初演以来、この曲を聴いた時に感じるビクッとした感覚を思い出し、開演前から引き込まれた状態だった。