2024年 勝手に観劇ベスト10

#芝居,#観劇の総括,#観劇ベスト

誰にも頼まれていないけれど、2024年通年ベスト10。

2024年に観た芝居、192本の中から、私的なベスト10を選んでみました。
ただし、「ウィキッド」は、もう殿堂入りの別格なので、対象から外してあります。

観劇リスト2024 192本

上半期ベスト9
下半期ベスト7

CoRich芸術アワードに投票もしています。 ⇒こちら

演劇番外地(Xのスペース)で、上半期、下半期の演劇振り返りを実施しました。
演劇番外地 スペシャル 2024年上半期の観劇振り返り
演劇番外地 スペシャル 2024年下半期の観劇振り返り【2025年1月2日にXのスペースで録音予定】

2024年ベスト10(順位)

【10位】Project Nyx 「小栗判官と照手姫

小栗判官と照手姫の物語を、Project Nyx版で初めて知りました。その後、いろんな団体かこの物語を描いているのを知る事になるのですが、、、、遊行寺の本堂で演じられたのを観れたのはとても幸運でした。特に、Project Nyxのアングラエンタメな演出が、境内の空間にマッチしていました。Project Nyx、2025年1月には「青ひげ公の城」をニューヨークで公演するようです。…さすがに観には行けませんが、活動が楽しみな団体の一つです。


【9位】M² 「黒い太陽

岡本太郎が「太陽の塔」を作る様子を、主にその周りの人々の視点から描いた作品。岡本太郎を描いた作品は多々あるものの、周りの人々の太郎に対する理解の視線が印象に残った作品でした。太陽の塔、内部公開始まったのにまだ見に行けてないなぁ。


【8位】新国立劇場演劇研修所「朗読劇『風が吹くとき』

小学生の頃に見た映画が、完全にトラウマになっている作品で興味惹かれての観劇でした。朗読劇とありましたが、しっかりとした演技も交えた作品。今年、デジタル・リマスターした映画の公開もありましたが、舞台としても印象に残る作品でした。とにかく一人称視点で描かれる核戦争の怖さ。子どもの頃、正しくトラウマにしてくれた作品にまた出会えてよかったです。


【7位】くによし組「ケレン・ヘラー

今年のシアタートラム・ネクストジェネレーション。ヘレン・ケラーをネタにして積み上げてきた虚像により、いつしかヘレン・ケラー同様の盲目・ろうになってしまう様。SNSの時代、神なき時代の神にすがりつくかのような、すごく皮肉なものを描いている作品でした。再演との事ですが、初演だったら岸田戯曲賞を狙えた気がします。くによし組の作品は、これまでも何作か観ていて、ここまでビビットな演出をする団体とは思っていなかったのですが、シアタートラムに立ち上がった空間の鮮烈さにも驚きました。


【6位】KOKAMI@network「朝日のような夕日をつれて2024

1991年版の映像は多分100回以上観ていて大部分の台詞を覚えている作品。1991年は私としても演劇に目覚めた直後。チケットが取れなかったのあり、実演で見る事が叶わずにこの歳になってしまった。既に第三舞台の枠組みではないし、大高・小須田の両役者さんが出演しないはじめての朝日だし、正直不安がありましたが、その不安を吹き飛ばしてくれた朝日でした。2.5次元病が良かったな。この話、言わずもがなに「僕たちは遊び続けられているのか?」という疑問の提示である作品なのですが、1991年当時ネットワークの登場への期待と、SNSに疲れた絶望が、同じ物語の中で描かれるのが、何ともこの作品の凄いところだ、と感心しました。DVD化遅れているようですが、2月頃に完成するらしい。楽しみです。


【5位】フジテレビジョン/Aga-risk Entertainment「逃奔政走

アガリスクがついに有名女優に目を付けられて、製作されたコメディ。鈴木保奈美のコメディエンヌぶりと、アガリスクの周りの面々が引き立つコメディでした。政治家への風刺が的を射ているのも良かった。FODで配信もされています。


【4位】南極ゴジラ「バード・バーダー・バーデスト

昨年観た「(あたらしい)ジュラシックパーク」が、強烈な印象が残りつつも脚本が弱いな、と強烈に感じました。今回の作品も、脚本が強い、という訳では決してないのだけれど、紡がれる物語の世界観が余りに強烈過ぎ、そこから想像できる余白・・・特に太古の恐竜たちの記憶を、擬人化する事で浮かび上がらせる事・・・に負けたなぁ、という感覚が強くあります。今後の作品も観たいと思っていますが、脚本が弱い、と感じるのは何となく今後も続くのではないか、と予想しています。ただ、そういった「よく出来た物語」以上の、とても感覚的な世界を魅せてくれそうな団体で今後が楽しみです。


【3位】新国立劇場「ピローマン

トリガーアラートのある作品。観終わって今でも、一体何の物語だったのか…という事を語ろうにも、言葉が出てこない。ただ、物語を語る、、、という事が、人の営みの中でどれほどに尊いのか、みたいな事に思いを馳せた作品でした。他の方の感想を眺めていると、日本初演の長塚圭史演出版との比較も観られた作品でしたが、過去演出を観たい・・・という思いよりも、今ここに立ち上がってしまったやるせない何かに向き合うのが精いっぱい、という作品でした。


【2位】Aga-risk Entertainment 「なかなか失われない30年

この作品も、結局2回観て、配信も買いました。タイムリープものはたくさん観てきたけれど、一点に時空が集まってしまうタイム固定リープ(?)モノ。設定の見事さと、緻密なセリフに、腹かかえて笑いました。特に組長の「うちの組は、シャブと歴史改変はご法度なんだよ!」には笑い転げました。加えて、この作品の舞台になっている雑居ビル、昨年閉館したシアターミラクルへの想いが募った作品でもありました。2回目の観劇前には、久しぶりにケバブを食べた後に観劇したっけか。ポスト、三谷幸喜は冨坂友で間違いなし、を確信した作品でした。


【1位】劇団四季 「ゴースト&レディ

結局11回観ました。配信も買いました。初回観た時は、「おっ、傑作ミュージカルきたな」とは思ったものの、ここまでハマるとは思っていませんでした。その後のネットでの盛り上がりが凄い。作品の解釈に対する意見で観方が深まったり、原作者、藤田和日郎さんのツイートなどでも盛り上がりました。フローレンス・ナイチンゲールの生涯を、ゴーストの目線を通したファンタジーでありながらも、刻銘に捉えていたのも良かった。このあと、2025年に名古屋・大阪公演が控えていますが、このミュージカルは、海外輸出されると思っています。その時を楽しみにしつつ。


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