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<観劇レポート>シアターキューブリック 「幸せな孤独な薔薇」

#芝居,#シアターキューブリック

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 シアターキューブリック「幸せな孤独な薔薇」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名シアターキューブリック
シアターキューブリック結成20周年公演第1弾
幸せな孤独な薔薇
脚本田嶋ミラノ
演出緑川憲仁
日時場所2021/05/20(木)~2021/05/26(水)
浅草九劇(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

CoRichにはこんな紹介があります。

2000年に劇団旗揚げ。以降、「大人が楽しめるエンターテインメントファンタジー」の創作に邁進し、36公演にわたり、座付作家・緑川憲仁の作品を中心に上演を重ねてきました。2010年に劇団の本拠地を東京都墨田区に据えてからは、「演劇のチカラでまちを遊園地に!」という活動テーマを軸に、劇場公演と並行しながら演劇を活用した地域振興活動に注力。地元商店街と提携したユニークなイベントを長期スパンで展開。また、全国各地のローカル鉄道とタッグを組んだ「ローカル鉄道演劇」は7公演を数え、地方の地域活性にも目を向けた活動を続けています。

シアターキューブリック

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

ものがたり
留学を夢見る女学生ルカは、遠縁にあたる老人の存在を知る。
郊外の屋敷に暮らすその老人はとても裕福なのだという。
ルカは自分の夢を叶えるため、友人のミサとこの屋敷を訪ねた。
留学の援助をお願いしたいが、自分はきれいでもないし、愛想も無い。
自分の容姿にコンプレックスを抱える彼女は、ミサに身代わり役を頼んだのだった。
夏と呼ぶには少し早い季節の昼下がり、
屋敷の中に案内された二人は、いよいよ老人との対面の時を迎える。
ところが、果たして二人を待ち受けていた老人は、盲目だったのである。

■ 美しい人 ■
『幸せな孤独な薔薇』はシアターキューブリック結成と同じ2000年に上演された作品です。
当時の演劇業界で圧倒的なヒロインの存在だった作者・田嶋ミラノさんは、
美しいひとを目指し続けた美しいひとで、それでいて美しい物語のなかではズルさや滑稽さが顔を覗かせます。
そして、そのすべてが人間の愛おしさとして、観る人々を包み込んでくれました。
ミラノさんは本作品の発表を最後に、3年後天国へ旅立ちました。
この作品との出会いがその後の20年、シアターキューブリックを続けさせる原動力となったことは間違いありません。
かくして20周年を迎えた今、僕らはミラノさんに会いにゆく決意を固めたのです。

代表・演出 緑川憲仁

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年5月21日
19時30分〜
上演時間110分(途中休憩なし)
価格4500円 全席指定 初日割引

チケット購入方法

劇団ホームページからのリンクで、CoRichで予約しました。
指定口座番号が送られてくるので、そこに送金しました。(PayPay銀行)
予約完了のメールが届きました。当日、名前を告げて指定席券と交換してもらいました。

客層・客席の様子

男女は5:5くらい。年齢層は様々でした。

芝居を表すキーワード
・ファンタジー
・シリアス

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

結成当時から噂には聞いていたけれど、今まで一度も観に行けておらずの、シアターキューブリック。20周年にして初観劇。そして、初めて観る田嶋ミラノが書いた作品。初演は2000年。

パンフレットに役名記載がないので、そのあたりが曖昧なのを記載しつつ。

どこの時代背景とも知れぬ、ちょっと貴族的な雰囲気の漂う時代を舞台にした、ファンタジー色の強い舞台。お金持ちな遠い盲目の親戚(=旦那様)に、留学のお金を無心する女。でも自分に自信がないので、容姿のいい友達に身代わりになってもらい、自分は付き人として付いていって見守りつつ、友人の力で旦那様の好印象を得ようとする。親戚の家に滞在し、屋敷の人々と生活を共にする中で明るみに出る、その旦那様の過去と、誰にも放たれていない屋敷の北側の薔薇園。そうこうしているうちに、旦那様は目の手術を受けて、視力を取り戻す。盲目であることも手伝って、旦那様に自分自身を偽っていた女は、目が見えるようになった彼にどのように映るのか…という話。

劣等感というか、アイデンティティに対する悩みや戸惑いを、丁寧に丁寧に紐解いて、想いを積み重ねていく。前半1/3くらいは、ファンタジー的な設定と、友達と立場を入れ替わる設定が腑に落ちずに、世界に入り込むのに苦労したけれど。その「ファンタジー」要素は、あくまで「寓話」としての表現だと受け止めて、内省的な悩みにフォーカスして物語を観れるようになると、ストンと心にハマってきた。

とても寓話的だ。子供のころから親しんでいる物語が、背後に巧妙に組み込まれている。グリム童話、ミュージカル「ウィキッド」(2003年)、あるいは寓話ではないけれどケストナーの「ふたりのロッテ」などを、要所要所で思い浮かべる。主人公の女性(名前忘れた…)の衣装が緑色だったので、私は選ばれないかもしれない…と悩むシーンはまるで、ウィキッドの"I'm not that girl"のようだった。

アイデンティティを確立する内省的な心の動きは、若い頃の「成長」の話でもある。旦那様に女(友達が)いかに「海外で建築を学ぶことが大切か」という事を説くシーンに思わず涙。自らの願望や野望を語り得ない何か。単に若さ、なのか。そんなとても微妙な感情を、舞台の上で具体化して表現された感覚。旦那様から友人に課せられた宿題に関しては、ラストの種明かしは予想通りだったけれども、結末云々より、過程の心情を追いかける物語で、オチが読めた事はそれ程気にはならなかった。

浅草九劇は、横長で割と狭い劇場だけれど、どこかの城のような舞台セットも効果的。そして、細かく創り込まれている衣装が、ファンタジックな世界観を表現していて、見ていて飽きなかった。

この作品は、2003年に急逝した田嶋ミラノの遺作。その観点で少し身勝手な解釈をすると…。作品全体が、表現者としての迷いと、アイデンティティの確立で迷っていた、田嶋ミラノ自身の物語にも受け取れる。…確か、神戸で活動していた劇団、惑星ピスタチオを離れて、東京で演劇ユニットを立ち上げて、表現活動をスタートして間もない頃だったはず。結局私は、その当時は作品を観に行けなかったのだけれど、ピンで活動を始めた事は演劇好きの中でもよく話題になっていた。舞台上の主人公に作者を重ねてしまうのは、作者がもうこの世に居ないからの、客の勝手な解釈なのかもしれないけれども。観ていると、そんな視点をどうにも捨てられなくて、物語とは少し別の離れたラインで、感慨にふけっていた自分を発見したのも、確かな感情だった。

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