<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場「湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。」

#芝居,#KAAT

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 KAAT神奈川芸術劇場「湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。
脚本野木萌葱
演出シライケイタ
日時場所2021/08/27(金)~2021/09/12(日)
神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

神奈川芸術劇場。横浜の山下公園近くにある劇場です。

ミッション
「3つのつくる」をテーマとする創造型劇場
【モノをつくる 芸術の創造】
演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信します。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぎます。
【人をつくる 人材の育成】
舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。より良い作品創りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポートします。
【まちをつくる 賑わいの創出】
公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHK横浜放送会館を始めとした近隣施設との連携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高めます。

KAAT神奈川芸術劇場

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

今年度より導入されたシーズン制、一年目のテーマは「冒」。
シーズンの幕開けを飾るのは、作・野木萌葱×演出・シライケイタによる
歌舞伎の人気演目「三人吉三」をモチーフにしたハードボイルド現代劇。

2021年4月1日よりKAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史は、今年度からシーズン制を導入することを発表しました。2021年8月~2022年2月までのシーズン一年目は、テーマを「冒(ぼう)」に決定。テーマにそった企画がプログラムされ、“飛び出す、はみ出す、突き進む”さまざまな作品が劇場を彩ります。

シーズン「冒」の始まりを告げる第一作目「湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。」(みなとよこはまあらぶるいぬのさけび〜しんそう、さんにんきちさ。)は、湊町を舞台に繰り広げられる、歌舞伎でおなじみの「三人吉三」をモチーフにした現代劇です。

河竹黙阿弥による七五調のリズム感あふれる文体、悪事を重ねながら生きるアウトローの主人公、因果応報が生み出すドラマティックな展開といった歌舞伎の魅力が詰まった人気演目を、現代に置き換えた任侠版「三人吉三」として書き下ろすのは、野木萌葱。東京裁判、大逆事件、グリコ森永事件などの歴史や史実を題材にした脚本でこれまでも高い評価を受けている野木が、「三人吉三」の世界観をどう現代に蘇らせるのか注目です。

演出は、蜷川幸雄演出の舞台で俳優としてデビューしたのち、2010年劇団温泉ドラゴンの立ち上げに参加し、脚本家・演出家として活躍の幅を広げているシライケイタ。2017年には読売演劇大賞杉村春子賞を受賞するなど、その手腕は高く評価されています。

注目の脚本家と演出家による待望の初タッグとなる本作に、個性あふれる魅力的なキャストが集結しました。
歌舞伎版「三人吉三」で和尚吉三にあたる役を、舞台のみならず近年では映画やドラマでも圧倒的な存在感を示している玉城裕規、お嬢吉三にあたる役を、若手実力派として多方面での活躍を見せる岡本玲、お坊吉三にあたる役を、話題の映画やドラマに数多く出演してその個性が光る森優作が演じます。彼らの親や取り巻く周囲の人々として、渡辺哲、山本亨、ラサール石井、村岡希美、大久保鷹、若杉宏二ら実力派俳優が出演し、ドラマを盛り上げていきます。

「三人吉三」同様、今作においても世の中からはみ出た悪党たちの葛藤や悲哀がにじむ、人間味あふれる物語が展開します。アウトローたちが湊町を舞台に運命に翻弄される任侠現代劇が、このカンパニーによってどのように立ち上がるのか、ぜひご期待ください。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年9月11日
17時30分〜
上演時間125分(途中休憩なし)
価格6800円 全席指定

チケット購入方法

チケットかながわで予約、座席指定、決済しました。
セブンイレブンでチケットを受け取りました。

客層・客席の様子

男女は5:5くらい。様々な年齢層がいました。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・ハードボイルド
・アウトロー
・会話劇

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

流れてくる感想を読んでいると、「全然違う」という感想が目立つ。ベースになっている作品「三人吉三」とは、別モノという事だろう。・・・無知とは気楽なもので、私は「三人吉三」を知らない。良くも悪くも、先入観なく観れたのが幸い。ハードボイルトなヤクザの世界。好みの路線ではなかったけれど、世界観にどっぷり浸かった。濃い演劇の時間だった。

横浜の湊町。中華街の一角にありそうな、寂れたホテル。(鯨*館、と言ってた気がするけれど忘れてしまった。)そこに出入りする、ヤクザたち。警察の偉いさんと、ヤクザの二大勢力は裏で繋がっていて、甘い汁を吸っていた。そんな中、警察の偉いさんは、過去、横浜博覧会時代に消えた五億円の金の事を蒸し返す。蒸し返すことで、二つのヤクザに戦争のタネを撒こうとする。ヤクザの二大勢力、それぞれの頭の娘、息子は、ヤクを売りさばいて小さな商売をしている。実は二人は、同じ母親から産まれた兄妹。それを知らない2人。警察の偉いさんは、キャリアになった自分の息子に、このシマを譲るべく裏の顔を見せ始める。五億円の行方をめぐって、結局は殺し合うヤクザたち。それを見てか、見ぬか、乗り越えて未来を掴もうとする子供たち・・・と、ストーリーを強引に書くと、そんなお話。横浜博覧会が15年前、というセリフがあったから、時間を前後したりしつつも、大部分は2004年ごろを描いた作品。

不勉強ながら、ラサール石井さん以外の名前を存じ上げなかったけれど、顔は知っている!、という役者さん多し。野心に満ち溢れた男たちの、男臭い人間ドラマ。劇場が水を打ったように静かで、引き込まれている。

これだけ濃い人間劇を、映像ではなく演劇の舞台で観ると、客席は「その場に居合わせた」ような感覚を持つ事が多い。しかし、この作品はどちらかというと、客を、目の前で展開している世界に寄せ付けない何か、があるように感じる。実際に似たような宿がKAATから少し歩けば見つかりそうな、とても現実的な風景にも関わらず、客と舞台の境界線、現実と虚構の境界線が、ものすごくピチッと引かれている感覚。物語に引き込まれているのに、この非現実感が、すごく不思議だった。(まぁもちろん、私自身、任侠の世界を全く知らないから、というのもあるのだろうけれど。)

ホテルの老オーナーと「ヒト型」呼ばれるメイドがホテルを切り盛りしているが。この「ヒト型」が面白い。アンドロイドっぽいけれど、何なのかは劇中は、特に明かされない。ヤクザのとばっちりを受けて二度ほど撃たれるけれど、少しすると生き返る。ヤクザの生々しい人間関係が展開している中、「ヒト型」はその感情を学んで成長しようとしている。でも、撃たれて壊れてしまうと、記憶や学習は失われてしまう様子。生々しい人間関係のドラマなのに、このアンドロイドだけは常に話の外側にいる。でも、変わらず常にそこに居て、過去は覚えていない。ヤクザの親と子と同じように、ただ今を生きている。そんな対比をつねに浮き彫りにしてくれている存在が、何とも面白かった。

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