<観劇レポート>スカレッティーナ演劇研究所「Hôtel Ushiyama 〜サイゴンの夜〜」

#芝居,#スカレッティーナ演劇研究所

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 スカレッティーナ演劇研究所「『Hôtel Ushiyama 〜サイゴンの夜〜』」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名スカレッティーナ演劇研究所
スカレッティーナ演劇研究所 2021年 第一回本公演
『Hôtel Ushiyama 〜サイゴンの夜〜』
脚本岸田國士
演出小西優司
日時場所2021/12/07(火)~2021/12/12(日)
APOCシアター(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

小西優司が運営する俳優養成所。台本を細かく解析、何故それを話すのか?発語発話とは何か?舞台ではどのように行動するかを位置、角度、高さなどの具体的な数値で説明。また役割と役柄を並列で身につけるメソッドを展開。朗読と演技力で個性と基礎を確立。声優、俳優、TVなどで活躍するタレント多数

スカレッティーナ演劇研究所

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

2019年の4月に立ち上げた研究所の2019~2021シーズンの集大成として第一回本公演を上演します。
今回は研究所に3年通った俳優と、月とスカレッタの劇団 員、客演、アンサンブルで構成して、刺激的な稽古期間を過ごし「全編カットなし、台詞変更なしで、観てわかる岸田國士」を目指しました。全部長崎弁のお芝居ですが、「観る」楽しみをお客様に。拙いながらも心を込めて贈ります。

【あらすじ】
仏領インドシナのある港の日本人経営の牛山ホテル。S商会出張所主任の真壁が店に大穴をあけてこの町を去るにあたり、落籍し同棲していた娼妓藤木さとを天草の故郷に帰してやることを決めたものの、それが彼女の幸せかどうか思い悩んでいる。その解決もつかぬまま、別れの時は刻一刻と近づいていた…

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年12月8日
14時30分〜
上演時間100分(途中休憩なし)
価格4000円 全席自由

チケット購入方法

劇団の方にチケットをお願いいたしました。
当日、受付で名前を告げて、現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は2:8くらい。
平日マチネだったからか、40代位が中心の客席でした。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・会話劇

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

岸田國士の1929年の作品。作品に触れるのは初めて。いつもの通り、事前には情報を全く入れずに観た。終演後検索してみたら、戯曲が青空文庫で読める。全編、(おそらく)長崎・熊本中心のの、九州弁の会話が多い。終演後戯曲をナナメ読みしてみると確かに九州弁が多く、元の戯曲に忠実だった様子。冒頭30分くらいは、会話が中々頭に入って来なくて難儀した(私自身、九州に一年住ん多ことがあるので、もう少し九州弁が素直に頭に入ってきて欲しいところだけれど)。30分過ぎたあたりから、自然と世界の中に没頭出来るようになった。慣れるまでに時間はかかったものの、中盤入り込んだあたりからは、濃厚な会話劇で、面白かった。

無料パンフレットがなかったので、青空文庫の役名を参考にして書くと。

…”めかけ”って、令和の世ではあまり聞くものではないから、実際当事者になったらどういう心理になるのかなぁというのは、側から見ていて実はあまり想像出来ない。でも、真壁とさとの、2人の関係をみていると、結局のところは、不器用な男と女。お互い、自分の感情を、うまく掴めなくて、うまく表現できなくて、もがいている様。

そんな中、2人をとりまく人々が、正に「外地」。アジアの端っこのような感覚で、粘っこい。冬に見ているのに、汗の匂いが漂って来そうな粘っこさ。劇中のセリフの通り、内地ではないところに辿り着いてしまった「放浪者の特徴」を持った人々。男達は、商社から派遣されて来ているのだろうから、それなりに羽振りは良さそうだけれど、どこか異端の吹き溜まりの真ん中にいて。だからこそなのか、真壁とさとの関係が、妙にピュアにも見えて来て、二つの世界の対比みたいなものが面白かった。

人物関係がイマイチ分からない人が登場していたけれど、青空文庫の方に当たると、途中で出てきた日本の正装をしている人は剣道の先生だし、夫人を連れてお高く止まっている三谷は、真壁の後任なんだな。九州弁のセリフを聞き逃して、関係を掴み損ねたのかもしれないけれど、再度戯曲を読み返すといろいろと発見がありそう。とはいえ、細かい人間関係を理解していなくても、物語の理解にはあまり影響せず、会話劇としてしっかり成立しているのがいいな、と思った。

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