<観劇レポート>劇団フルタ丸「すべてセリフのはずだった」
【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 劇団フルタ丸「すべてセリフのはずだった」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 劇団フルタ丸 |
回 | 二十周年記念公演 |
題 | すべてセリフのはずだった |
脚本 | フルタジュン |
演出 | フルタジュン |
日時場所 | 2022/06/15(水)~2022/06/19(日) 駅前劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
フルタ丸では2つの名義で作品を上演しています。
「劇団フルタ丸」名義による本公演シリーズ・コラボシリーズ。
「FURUTAMARU.」名義による三人芝居シリーズ・海外展開シリーズ。
過去の観劇
- 2024年07月12日【観劇メモ】劇団フルタ丸「口車ダブルス」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
下北沢に越して来た異母四姉妹。
母が異なる四人は消息が分からなくなった一人の父親を探していた。
手掛かりは父親との記憶が残る下北沢に現われるかもしれないという予感だけ。
街を徘徊する四姉妹の姿が話題になり始めた頃、映像制作会社が声を掛ける。
彼女達がテレビに出ることを了承したのは父親を探すためだったし、
制作会社が四姉妹を追いかけたのは傾いた会社を立て直すためだった。
でも、もうそんなことは誰も何も憶えていない。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2022年6月16日 19時30分〜 |
上演時間 | 130分(途中休憩なし) |
価格 | 3800円 全席自由 |
チケット購入方法
カンフェティで購入・決済しました。
セブンイレブンで予約番号を伝えて、チケットを受け取りました。
客層・客席の様子
男女比は6:4くらい。
男性は40代upが目立ちました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・笑える
・会話劇
・考えさせる
観た直後のtweet
劇団フルタ丸「すべてセリフのはずだった」130分休無
劇団20周年も初見。異母な四姉妹が失踪した父親を待つ話。淡々としてるのが気になったけだ、面白かった。虚構と現実がよくわからなくなってきてるのに、人の存在感が増していくのが面白い。ドキュメンタリー、SNSの本質も頭をよぎり。超オススメ。 pic.twitter.com/geXcZYW1j5— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) June 16, 2022
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは、事前紹介の通り。それまで別々に生活していた、異なる母親を持つ、苺谷四姉妹。その様子をドキュメンタリーとして描く孤高のディレクター。ただ、カメラと共に追いかけてみると、苺谷四姉妹にはそれほど「物語」はなく、たまたまプロポーズされた一人にフォーカスを当てることで好評を得た。続編のドキュメンタリーを作る際に、プロデューサーは「脚本」を姉妹に与えることに。続編の制作に乗り気でなかった姉妹も、脚本を読むことで、不思議とその気になってくる。そして脚本通りのドキュメンタリーが作られる…というお話。
割と独特のテンポで、ゆっくりとゆっくりと丁寧に描かれる物語。ちょっとテンポがゆっくり過ぎるかな・・・と思う部分があったけれど、ラストに向けての姉妹のドキュメンタリーに、思わずニンマリしてしまう。気がつくと、不思議な世界観の中にいる感覚。
それまで別々に生活していた四姉妹が、どうして共同生活を始めたのか、そのあたりの細かい事は殆どえがかれない。失踪した父は見つからず、脚本を基に「演じられる」続編のドキュメンタリーは、コメディ調でもある(「海街Diary」のくだりは何度も笑ってしまった)。
ストーリーを書いてよくよく思い返してみると、お話が繋がっていないというか、よく分からない事が多い。それでも「おもしろい」って感じる。会話の言葉が、活き活きいしているのもあるが、それ以上に、お話をそのものを描いているというより、たまたま集まってしまった四姉妹の関係を通して、何か別のものを描こうとしているように見える。細かい整合性というより、そこに産まれた関係性の描写に見えるのが、とても演劇的独特の空気感に見えてくる。
ドキュメンタリーと、その作成に向けてどこか「演じている」四姉妹の様子が、どこかSNSで日常を晒すようになった今の人々の生活にも重なって見える。とはいえ、ドキュメンタリーに、撮る側の視点を加えたときに起こる変化は、過去長く話題になっている、純粋に客観的なドキュメンタリーは存在するのか、という命題にも重なって見える。何気ない生活の会話のやり取りが、四姉妹の設定の面白さと、令和の今の日常とも重なって見えて、大きな広がりを想像させてくれるのが印象的だった。