【ネタバレ分離】 ド・パールシム「杳たる月」の観劇メモです。


もくじ
初回投稿:2026年10月02日 18時10分
最終更新:2026年10月02日 18時10分
公演前情報
公演・観劇データ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 団体名 | ド・パールシム |
| 回 | ド・パールシム#5 |
| 題 | 杳たる月 |
| 脚本 | 新井孔央(ド・パールシム) |
| 演出 | 新井孔央(ド・パールシム) |
| 日時場所 | 2026/09/30(水)~2026/10/04(日) 高田馬場ラビネスト(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
新井孔央(脚本家・演出家)と草加陽子(俳優)による演劇ユニット。
2023年に東京大学で旗揚げ。
〈目を逸らせない人間の耽美さ〉をテーマに、
詩的な会話を用いた、濃密な世界を描き出す。
『杳たる月』で日本劇団協議会「日本の劇」戯曲賞2023佳作受賞。
過去の観劇
- 2026年05月24日 ド・パールシム「アンドガール」
- 2025年12月12日 ド・パールシム「欲情と微笑」
- 2024年12月06日 ド・パールシム「斜陽族」
- 2024年01月31日 劇団ド・パールシム「流れる羊」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
「日本の劇」戯曲賞2023佳作作品
20歳のド・パールシム新井孔央が見た、グロテスクで愛おしい田舎の風景。田舎に佇む山城家の古い家。
そこにはアオとキョウカという義兄妹と、精神を病んだアオの母、認知症の祖母が暮らす。
この家には先ほどアオらが殺害し放置された死体と、先日キョウカが出産した父親のわからない生まれたばかりの赤ちゃんがいる。
ある満月の夜に山城家に集まった、愛と性の関係が複雑に絡み合った人々。
彼らは重大なモノには見向きもせず、目の前にある自分の恋愛感情と性欲に突き進んいき、
更なる関係の崩壊へと向かっていく……新井孔央の原点であり代表作、ド・パールシム初上演!!
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
| 項目 | データ |
|---|---|
| 観劇日時 | 2026年10月02日 14時00分〜 |
| 上演時間 | 115分(途中休憩なし) |
| 価格 | 4500円 全席自由 |
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
杳たる月
ストーリーは団体紹介の通り。田舎の割と大き目な家。どうやら、誰かを殺した後らしい男女たち。そこに集まってくる男女たちの愛憎が、会話の中から徐々に明らかになっていく。ストーリーをあーだこーだ語る事にあまり意味は感じない。陰鬱として閉塞感のある、でも何処か欲望丸出しな人々の群像劇。
2024年の学生時代の前身の団体から観ているので、いつの間にか日本劇団協議会「日本の劇」戯曲賞など取ったのだろうと思ったら。この団体に出会う前の2023年に既に受賞していた模様。当時はリーディング公演の形で上演されたらしいので、シッカリとした演劇としては今回が初上演の様子。
満足度の星は4か5か悩んで4。人間の欲望にずっぼリハマる115分。正に殺人を犯した四人。アオの彼女のユキがストーカーをされていたことに端を発して、何がしかの不可抗力的な出来事ががあったのだろうか…当初から匂わせが激しかったので、実際に「殺人だ」とハッキリ分かった後もそれ程の驚きは無かったものの。その直後にしてはあまりにも落ち着いている四人。気が付くと、殺人をしたという事実や、行方不明の赤ん坊の命よりも、むしろそこに生きる人々の欲望…主に性欲・愛欲の方が強く映し出されてくる。居間に寝ている赤ん坊が一度も声をあげないのはちょっと不自然なのだけれど…それはひょっとしたら、そこに存在するようで、でも自分の欲望の方が強いので存在しないも同然の存在…的な意味だろうか。性的に直接的な表現がある訳ではないものの、「欲の具現化」を見た感覚。
ド・パールシム、新井孔央の作品は「性欲に惑う人々」を、ド直球ストレートに描くのがいい。今回も義理とはいえ兄妹の性愛の結果の子供だったり、童貞だと惜しげもなくあからさまにする饅頭屋のケイタだったり同僚タクミだったり(…タクミは童貞という言葉での言及は無かったけれど、何となく童貞な気がする)。登場する女性たちもどこか男としてはほっとけない雰囲気…とでもいうのだろうか…女性が対する相手によっては性的な部分をあからさまに出してくる感覚が、怖くもあり、目を背けたいけれど見てみたい感覚でもあり。
人間の欲望を切り取る演劇…という意味では申し分ないと思うのだけれど、ではそれが芝居を観た人に何を残すのか…と問われるとまだ未知数。数えてみるとこれが劇団5作目。以前から感じている事ではあるものの、まだ見えてこない。愛憎を描くだけで十分…なのかもしれないけれど、もう一つ上の、生で観ないと成立しない感覚的な何か…みたいなのが欲しいなぁ…と思うもののここ2-3作見た感覚としては変わらずで、要は「メロドラマのドロドロしたもの」で代用出来てしまうのではないか…という感覚もある、のかな(それはそれで、特にTVドラマなどでは需要がある物語ジャンルかもしれないけれど)。
それ故に、満足度の星は4か5かでいつも迷うのだが…今回は、役者の演技と、空間の雰囲気が最高によかったので5。ラビネストのちょっと奥まった雰囲気もあり、緻密な舞台美術もあり、陰鬱とした人間関係を描写するのにはピッタリ。今後どう化けるのかな…が楽しみな劇団の一つ。


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