【ネタバレ分離】 シアターユニットQD「ミュージカル『Y』試演会」の観劇メモです。


もくじ
初回投稿:2026年03月07日 16時54分
最終更新:2026年03月07日 16時54分
公演前情報
公演・観劇データ
| 項目 | データ |
|---|---|
| 団体名 | シアターユニットQD |
| 題 | ミュージカル『Y』試演会 |
| 脚本 | 植田望裕 |
| 演出 | 植田望裕 |
| 作曲 | 片山絵里 |
| 日時場所 | 2026/03/07(土)~2026/03/08(日) パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
シアターユニットQD
脚本家・演出家の植田望裕(うえだのゆ)と、作曲家・役者の片山絵里(かたやまえり)による劇作ユニット。
「普通」「正解」を押し付けられがちな毎日に、そうではない視点を持つ選択を投げかける。脚本を書き上げる段階から曲、劇伴を同時進行で製作し、相互に影響しあうスタイルのため、脚本演出・音楽共同製作ならではの作品の一体感・世界観を持つ。
過去の観劇
- 2025年01月25日 APOCシアター「APOFES2025」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
<あらすじ>
——それは『同じ』50年だったのか——2001年夏、成田空港。学生生活を終えたミキは、新生活への不安を抱きつつも生まれ育ったアメリカに帰国する。一方、常に自分の意志を貫くミキの強さは、漫然と留年をしたジンには眩しく見える。ジンとの友情だけは続くことを期待するミキと、いつかアメリカを訪れることを夢見るジンは別れを交わす。
東京、ベルリン、ニューヨーク、ブエノス・アイレス——空港で再会するたびに、2人の“親友” たちは次第に違う方向へと向かっていく。<試演会ってなに?>
当公演は、ブロードウェイやウエストエンドでの作品製作の過程に取り入れられている、ワークショップ(試演会)を模したものです。ワークショップは創作途中の段階で有識者やお客様からフィードバックを得る、クリエイターが作品を客観的に眺める、またプロデューサー・コラボレーターを探すなどの機会になります。
当公演でも、リーディング形式の上演のち、シアターユニットQD(植田望裕&片山絵里)とのQ&Aセッションやアンケートを通じて、皆様からのご意見・感想を募集いたします。
頂いたフィードバックを元に作品を練り上げ、2026年7月上旬に本公演を予定しています。
作品・シアターユニットQDの創作過程に興味がある方、ミュージカルが好きな方、ぜひ足をお運びください。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
| 項目 | データ |
|---|---|
| 観劇日時 | 2026年03月07日 12時00分〜 |
| キャスト | Aキャスト |
| 上演時間 | 120分(途中休憩5分を含む 休憩 5分(本編90分、5分休憩、その後Q&A)) |
| 価格 | 2500円 全席自由 |
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
シアターユニットQD「ミュージカル『Y』試演会」
2001年。友人同士のジンとミキ。大学を卒業し、ミキがアメリカの大学院に通うのを空港に送っていくところから物語が始まる。ミキは日本とアメリカの両方の国籍を持っていて、アメリカに久しぶりに「帰る」。ジンは日本のメーカーに就職し、社会人として頭角を表している。8年後。25年後、50年後。ふたりは空港で偶然に遭遇する。当初思っていたのとは違う人生を歩み、同時に社会情勢も思わぬ方向に変わっていく。そんな二人の心の「すれ違い」を描いたミュージカル。
APOFES2025で、同団体の「ベーコン・ワンダーランド」という不思議なミュージカルを観て後、団体2作目。会話などもすべて歌に乗せて語られる「ソングスルーミュージカル」なスタイルの作品。試演会とのことで二人の演者には動きはなく、楽器演奏のライブのようにマイクに向かって歌いながら物語が進行するものの、簡単な衣装変更と表情には演技が伴なって演じられる。演奏は生ピアノとチェロ演奏(私の回は)。90分の本編の後、休憩5分間の間に観客からのアンケートが集められ、その後Q&Aセッションという実質のアフタートーク。作・演出の植田望裕と作曲の片山絵里が、日笠未紗子の司会進行の下でアンケートからピックアップした質問に答える形で進められる。海外のミュージカルのトライアル的な公演のように、今回得られた観客の意見などを取り入れてブラッシュアップしたものを夏に上演予定とのこと。日本ではありそうでない公演スタイルなのが興味深い。
とはいえ動きがないというだけで、作品の型としては本格的なミュージカルだった。全体的にアップテンポな曲が多く、90分貫かれると観ている側は息つく暇がなく単純に「疲れる」ものの、リフレイン・リプライズする主要な旋律を観終わってしばらくしてもいくつか思い出せ、耳に残る楽曲が多くとても心地よい。試演会と銘打つにはちょっと勿体ないと感じる。テーマ的な部分に関しては、、、特にミキの「キラキラした人生」が、感情移入を阻む内容になっていないかなぁ…という気が若干するものの。若い頃を一緒に過ごした人が、人生の要所要所で出会うたびに、人生観が離れている…というテーマにはとても共感する。今回のアンケートとQ&Aで、夏に本公演として上演されるまでに作品をブラッシュアップするとのことで楽しみ。
私の書いたアンケートがQ&Aセッションで結構読まれた(…あるいはみんな同じような事を思っていた…)のだが、ジン役の性別が特定できず、男性とも女性とも取れるお話になっているのが疑問だった。Q&Aでそのあたりの説明があり、意図的に曖昧な設定を導入しているとのこと。今回観たAキャストではジンとミキは両方とも女性だったが、Bキャストではミキは女性だがジンは男性。ジェンダー的な中立を立ち上げることで何か表現できないかを探ったとと聞いて納得。舞台美術や演出が加わった本公演では、そのあたりの疑問を補完してくれるような要素が付け加わる事を望みたい。2050年を現実味を持って描くには、AIみたいな"今やありきたりな"単語では弱い。「ベーコン・ワンダーランド」の際にも感じたが、未来を描くときのSF的なモチーフの出し方は、改善の余地があるように思う。細かい点だが、ミュージカル好きにとって「ミキはハミルトン観た?」「もちろん」というやり取りに、ミキのアメリカに住む事の辛さが一発で伝わってくるのがいいなぁと思う。
初演の「SHINE SHOW!」以来の歌声を拝見したミキ役の大和田あずさ…久々に演技しているのを拝見したが、小劇場というよりミュージカル女優だったのか…これまでは歌は伴わない演技ばかり拝見してきたので、ここまで歌える女優とは知らず意外や意外でビックリ。おそらく初めて拝見するジン役の野々村紗香は、歌の凄さももちろんながら表情と眼鏡の使い方が印象に残る。


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