<観劇レポート>キ上の空論「幾度の群青に溺れ」

#芝居,#キ上の空論

【ネタバレ分離】 キ上の空論「幾度の群青に溺れ」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名キ上の空論
10周年記念公演
幾度の群青に溺れ
脚本中島庸介
演出中島庸介
日時場所2023/07/05(水)~2023/07/09(日)
紀伊國屋ホール(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

キ上の空論とは、
2013年12月旗揚。 リジッター企画 中島庸介の別ユニット。 言葉遊びや、韻踏み、擬音の羅列や呼吸の強弱など、会話から不意に生まれる特有のリズム『音楽的言語(造語)』を手法に、ありそうでない『日常』をつづる。

キ上の空論

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

太田マドカは、ストレスで胃痛を抱えながらホストクラブの店長をしている。マドカはひょんな事から川辺タイラの“秘密”を知る。タイラの唾液には人を眠らせる成分があり、彼女の唾液を摂取した者は眠ってしまう。睡眠時間は摂取量次第。秘密を知ったマドカは不気味に思うが、それでもタイラとの友人関係は変わらずに続いた。

その頃、とある教団の反社会性を批判し“被害者の会”を設立したタレント『江角弘光』が失踪した。事件はニュースやSNSで大々的に報道された。記者が教団に事件との関係を問いただしたが、教祖は全面否認した。

数年後、太田は旧友が話題の教団に入信し、既に幹部クラスへ昇り詰めていた事を知る。

教団幹部の旧友、怒る旧友の家族、川辺タイラの秘密、暴走する教団と世間……太田の視界は、日常と非日常の狭間でおぼろげになっていく……

一つの失踪事件をきっかけに動き出した暴走を、
いくつかの視点から覗く物語。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2023年07月05日
19時00分〜
上演時間135分(途中休憩なし)
価格7200円 全席指定

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは事前説明の通りだが・・・、オウム真理教事件をモチーフに、新興宗教の暴走とサリン事件までの出来事をベースに、コロナの事情も交えて語られる物語。サリンが撒かれることがクライマックスだが、宗教団体が妄信している液体=唾液が、サリンであり、人々の疲れを取る教団の収益源の飲料水の原液であり、コロナ禍の中の「飛沫」であり。・・・と、唾液を通して、いくつかの事実をかけ合わせて語られる物語。

オウム事件、サリン事件の時、今40代の私は、当時は中学~高校生。「異臭騒ぎ」っていう言葉が定着するくらいだった。オウム真理教のしてきた事や、新興宗教の危うさは、たくさんの物語でみている。思いつく限りでも、「A」、「A2」、NHKの「未解決事件」、是枝裕和の「DISTANCE/ディスタンス」・・・要はオウム事件を描かれる事には、40代の私には若干の"今更感"がある。物語としては、キ上の空論らしくとても面白いものの、新しい視点・・・という訳ではなかった。一方、キ上の空論の客層が、比較的若い事を考えると、この事実を知らない人も多いだろうから、一定層には刺さる内容なのかもしれない。

統一教会の問題など、コロナ禍が過ぎても未だに「新興宗教」があり、それがコロナ禍の分断の社会の中で助長される・・・という事なのかもしれない。ただ、物語の大半が、オウム事件をなぞる形で展開している事もあり、私には「唾液」を通してコロナとオウム事件をかけることは、若干の強引さを感じる。うまく接合点を見出せなかった・・・というのが正直なところ。スパッと切り抜く感想や劇評に出会いたかったものの、今のところその類には出会えていない。

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