<観劇レポート>桐朋学園芸術短期大学演劇専攻「NEHAN」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | 桐朋学園芸術短期大学演劇専攻 |
回 | 芸術科56期ストレートプレイコース卒業公演 |
題 | NEHAN |
脚本 | 高桑恭彦 |
演出 | 大塚幸太 |
日時場所 | 2023/02/15(水)~2023/02/16(木) 俳優座劇場(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
演劇専攻は、戦後の演劇界に多くの逸材を輩出したことで知られる俳優座養成所を前身とし、千田是也、安部公房、田中千禾夫という日本演劇界の巨星たちにより、専門俳優を大学で養成する目的をもつ日本で初めての教育機関として、1966年に創設されました。劇団の養成機関のように演技指導に力点をおくだけではなく、プロの俳優・表現者に必要な実技訓練に支えられ、幅広い教養と視野を兼ね備えた俳優の育成を目指しています。
過去の観劇
- 2024年02月14日【観劇メモ】桐朋学園芸術短期大学 「桜の園」
- 2022年03月01日桐朋学園芸術短期大学演劇専攻「RENT」
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
2040年。
様々な電化製品でヒット作を量産し、世界的な企業となったトウゴエレクトリカル社の研究所。そこでは人が眠っている間に見る夢、その夢の内容を自分自身で自由にデザインできるNEHAN(ネハン)という製品の開発が行われていた。
所長の皆月(みづき)を始めとして各分野のエキスパートが集いNEHANの製品化に向けた開発が進められていく。皆月は強い覚悟で研究チームを牽引し、遂にNEHANは完成する。だが、ある事件が研究所内に起こり事態は急変する。そして、明るみになる皆月の「強い覚悟」の真相。
時を遡ることは出来ない。皆月は昔の親友に思いを馳せる。そして、天音高校演劇部の仲間たちとの時間を……
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年2月16日 15時30分〜 |
キャスト | Aキャスト |
上演時間 | 125分(途中休憩なし) |
価格 | 2000円 全席自由 |
チケット購入方法
学校ホームページからのリンクで予約しました。
当日受付で名前を告げて、お金を支払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5。
学生と、親御さん世代の観劇に二分されていました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・泣ける
・会話劇
観た直後のtweet
桐朋学園芸術短期大学芸演劇専攻「NEHAN」125分休無
Aチーム。面白かった。オリジナル?と思たら既成?本。未来の世界の設定はイマイチだけど、演じられた世界観は悪くない。高校時代の描写が妙にリアリティあっていい。本はそこそこに役者さんの演技楽しむ。意識不明の人=リコ?の人上手し。大楽日。 pic.twitter.com/jAtv0qqnKV— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) February 16, 2023
満足度
(4/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリーは事前紹介の通りだが。NEHANを開発した後の本当の目的は、植物状態になった女所長の高校時代の友達の精神に入り込むため。高校時代、所長は演劇部。好きだった女の子の友達が、同じ部の男の子と両想いなのに気がついて、彼には彼女がいると嘘をつく。それがきっかけで、合宿の帰りのバスが事故を起こし、彼女は植物状態になった。その彼女に謝るための彼女の行動がはじまる・・・と強引にまとめるとこんなストーリー。NEHANを開発する2040年の世界と、高校演劇部の合宿の世界が独自に描かれ、最後に交差する。
「NEHAN」という作品。既成本だと思っていたけれど、調べても上演記録が出て来ず、パンフレットにも、脚本に関する記載が殆どなかった。・・・勝手な想像だけれど、この作品は卒業公演のために書かれたものかもしれない。ある程度人数を出さねばならない卒業公演故、二つの設定を一つの脚本として作ったのかなぁ、という勝手な想像。
というのも、作品としてはNEHANを開発する未来の設定があんまりしっくりこない。細かい台詞にも、舞台上の数式にも違和感。「物質が、波の性質も併せ持つことが最近分かってきた」のは1920年代の話だし、NEHANを持ち出して本当に必要な人に届ける研究員の話は尻切れトンボに終わってしまっている。もう一つの設定・・・高校演劇部の合宿。顧問の先生が脚本を書かないと言い出しどうするか話し合う高校生や、恋と同性愛への気づきの話がいい。それと比較するとNEHANの開発の方が、物語的にどうにも粗く見えてしまうのが、全編気になったものの。
別のふたつの芝居を一つに合わせた・・・と考えると、それぞれの世界観は面白い。特に高校演劇部の青春の話は、おそらく短大生には、とても近い過去の高校生を演じるのもあって、あまりにも生々しくてみずみずしい。あくまで、卒業公演、という観点で、脚本は度外視して観ているのは否めないものの、二つの物語と、ひとつの交わりを楽しんだ感覚だった。
ご卒業おめでとうございます。