<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場「近松心中物語」

#芝居,#KAAT,#長塚圭史

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 KAAT神奈川芸術劇場「近松心中物語」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
近松心中物語
脚本秋元松代
演出長塚圭史
日時場所2021/09/04(土)~2021/09/20(月)
神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

神奈川芸術劇場。横浜の山下公園近くにある劇場です。

ミッション
「3つのつくる」をテーマとする創造型劇場
【モノをつくる 芸術の創造】
演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信します。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぎます。
【人をつくる 人材の育成】
舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。より良い作品創りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポートします。
【まちをつくる 賑わいの創出】
公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHK横浜放送会館を始めとした近隣施設との連携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高めます。

KAAT神奈川芸術劇場

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

元禄時代、大阪・新町(遊郭街)。
真面目な飛脚宿亀屋の養子・忠兵衛は、新町の遊女・梅川に出会い、互いに一目で恋に落ちる。
梅川に、さるお大尽からの身請け話が持ち上がる。
金に困った忠兵衛は、幼馴染みの古道具商傘屋の婿養子・与兵衛に金を借りにいく。与兵衛が快く貸してくれた50両で、梅川の身請けの手付金を払い安堵する忠兵衛と梅川の元に、大尽からの身請けの後金300両が届いてしまう。一方 お人よしで心優しい与兵衛は、与兵衛に恋い焦がれる女房のお亀、舅姑とともに、大店の婿養子として身の置き所のない想いを抱いて暮らしていたのだった。
忠兵衛と梅川/与兵衛とお亀。華やかな元禄の世に生きる境遇の違う男女二組。
恋い焦がれる人と共にいるために心中を選ぶ、それぞれの恋を描く・・・。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2021年9月9日
18時30分〜
上演時間145分(途中休憩なし)
価格9500円 全席指定

チケット購入方法

チケットかながわで予約、クレジットカード決済しました。
セブンイレブンで予約番号を伝えて、チケットを受け取りました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。
50代upの層が目立ちましたが、その中に若い人がポツポツ混じっていました。

芝居を表すキーワード
・時代劇
・悲恋

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(3/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

とにかく物足りない。なんでこんなに物足りないんだろう、という理由が、自分でもうまく説明できない。作品の背景とかがよく分かっていないので、少し解説してもらうのが必要だろうと思いたち、普段は感想を書く前には読まない解説を読んでみると、こんな事が書いてあった。

戦後を代表する劇作家・秋元松代の代表作である本作は、近松門左衛門の「冥土の飛脚」をベースに他作品の要素を加え、近松作品の魅力をふんだんに盛り込んだシンプルで力強い言葉と、故・蜷川幸雄氏の劇的な演出により、観客からの圧倒的支持を得て1000回を超えて上演され、演劇界の金字塔と称されました。

そうなのか。金字塔なのか。蜷川幸雄演出の有名作なのか。・・・そんな事全く知らなかった。でも、物足りない事には変わりない。むしろ有名作でここまで物足りない事に、背景を読んで怒りさえ覚えてくる。そういえば、客層は割と年齢高めだったなぁ、というのを思い出す。蜷川作品の影を見に来た人が多かったのか。

近松門左衛門の心中モノ。細かい事は知らなくても、おそらく日本人ならどこかで聞いた事があるストーリー。要は、江戸時代のベタな悲恋の心中。忠兵衛と梅川の、置屋の見受け金がらみのド直球な悲恋の内の心中と。与兵衛とお亀の、気は優しいけれど甲斐性の無い男と、悲恋に恋した女との少しコミカルな心中。2つの対照的なカップルを軸に描く。・・・そこは事前に記載されているストーリーの通りなのだけれど。

前半、とにかく物語に入っていけない。その理由が、江戸時代の大阪弁に慣れないからなのか、妙にリズム感の乏しい舞台だからなのか、KAATの奥行を活かしているようで殺している舞台セットなのか。あるいはその全てなのか、自分でも判然としなくて当惑する。KAATのホールだから(スタジオではなくて)、もう少し舞台の全体感が欲しいのに、前の方でこちょこちょ芝居している感が強いし、一点透視を意識した無理矢理に遠近法の舞台セットが不自然な感じ。とにかくイライラが募ってくる。

後半、それぞれのカップルが心中に向かっていく様は、さすがに少し盛り上がっていくも。「心中」っていう行為そのものに、自分があまり感情移入できないんだなぁ、という事に観ていて改めて気が付く。「命さえあれば、花が咲く時期もいずれめぐってくる」(うろ覚え)っていうセリフが、劇中2度ほど出てくるけれど。・・・そう思うなら、とりあえず必死に生き延びろよオラッ、というツッコミを抑えきれない。単に私が「心中」が嫌いなのか。現代で「心中」って言われても、どこか現実感に乏しいからなのか。ここも当惑する。ラスト、雪景色の舞台セットが下りてくる。このシーンの照明は、それまでののっぺりした遠近法の壁を消して、深く沈んだ感じでとにかく奇麗だったけれど。・・・でもこんなワイヤー吊りの箱庭なら、やっぱり大スタジオの方が良かったよなぁ、という想いが強くなる。

最近観た、似たような悲恋ものだと「喪服、緋色の。」。この作品は、本作と同じような悲恋の世界を、ミュージカル仕立てで描いた作品。ストーリーの内容よりも、ミュージカルとして、音楽で感情を乗せに乗せていくのが楽しかった。でもその時も同じように、「悲恋」に対してはそれ程感じるところはなかったから、そもそも私にド直球の「悲恋」が引っかからないのかもなぁ、・・・ひょっとして、恋する事を忘れちゃったのかなぁ私、という気もした。

音楽はスチャダラパー。・・・だったのだけれど、どのあたりがスチャダラパーなのだろうか。私自身、スチャダラパーをそれ程よく知っている訳では無いけれど、微かに知っている曲は、ビートの効いたハッピーな曲が多い。なので、悲恋ものにビートを効かせて物語を刻んでいくのかな、という身勝手な想像があったけれど(ハッピーではないにしても)。さにあらず。あれ私、何か聴き逃がした?という感覚。冒頭の曲以外は、音楽らしき音楽もなかったのだけれど。(あと、カーテンコール曲)スチャダラパーのファンはどう見たのか、感想を聞いてみたい。