<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場「怪人と探偵」

#KAAT,#白井晃

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名PARCO/KAAT神奈川芸術劇場
アミューズ/WOWOW
新作ミュージカル
怪人と探偵
原案江戸川乱歩
作・作詞
楽曲プロデュース
森雪之丞
演出白井晃
日時場所2019/09/14(土)~2019/09/29(日)
神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

KAAT?

白井晃が芸術監督をつとめる、神奈川芸術劇場。横浜の山下公園近くにあります。

ミッション
「3つのつくる」をテーマとする創造型劇場
【モノをつくる 芸術の創造】
演劇、ミュージカル、ダンス等の舞台芸術作品を創造し、発信します。県民の財産となるようなオリジナル作品を創造し、次代に引き継ぎます。

【人をつくる 人材の育成】
舞台技術者、アートマネージメント人材など文化芸術人材を育成します。より良い作品創りのために、劇場スタッフが施設利用者をサポートします。

【まちをつくる 賑わいの創出】
公演事業の積極展開、創造人材の交流及びNHK横浜放送会館を始めとした近隣施設との連携により、賑わいや新たな魅力を創出し、地域の価値を高めます。

KAAT 神奈川芸術劇場

事前に分かるストーリーは?

劇団ホームページには、こんな記載がありました。

昭和34年(1959年)東京麻布。
元子爵北小路家の令嬢・リリカと安住財閥御曹司・竜太郎の婚約発表の日、北小路家の大広間では、華やかな仮面舞踏会が催されていた。パーティの最中、不思議なことに、誰も気づかぬうち、大広間の柱時計には怪人二十面相の犯行予告状が貼り付けられる。『3日後10時北小路家の家宝「パンドーラの翼」を頂戴する』
指定の日時、二十面相の犯行を阻止するために、探偵・明智小五郎が北小路邸を訪れる。明智を一目見た北小路家の令嬢のリリカは明らかにショックを受ける。
明智も動揺を抑えている。実はリリカには暗い過去があり、明智とリリカには深いつながりがあったのだ
10時を告げる鐘の音と共に、予告通り怪人二十面相が現れ、「パンドーラの翼」は爆発、明智は負傷し、二十面相がリリカを連れ去ってしまう・・・

観劇のきっかけ

白井晃、KAAT、新作ミュージカル、森雪之丞。観ない、という選択肢はないです。はい。

ネタバレしない程度の情報

上演時間・チケット価格・満足度

観劇した日時2019年9月15日
13時00分〜
価格12000円 全席指定
(プレイガイド発券)
上演時間165分(70分-20分休-75分)
個人的な満足度
CoRichに投稿
★★★★☆
(4/5点満点)

客席の様子

女性客が8~9割位。女性はアラフォー世代UPが多し。男性は女性の連れが多かったかな。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも安心して観劇できる舞台です。

観た直後のtweet


ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは、恐らく江戸川乱歩「怪人二十面相」を基にしたもの。上記のストーリーの通りだが・・・。貴族の令嬢リリカは、竜太郎との結婚を控えていた。そんな折、怪人二十面相からの宝石の盗難予告。その警備に立ち会った名探偵明智小五郎と、リリカは出会う。実は2人は旧知の中で、明智は彼女の扶養者で、そしてかつての恋人だった。竜太郎と明智との間で悩むリリカだが、宝石の強盗とともにリリカは怪人に誘拐されてしまう。幽閉された島で、リリカは竜太郎に出生の秘密と明智との関係を告げるが、実は竜太郎こそが怪人二十面相本人だった。島に乗り込んで来た明智と、待ち構える怪人二十面相の竜太郎。リリカをかけた、2人の闘いが始まる…と、かなり強引にまとめるとこんなお話。

「新作ミュージカル」と銘打っているだけに、嫌が応にも期待が高まる一作。全体的な印象としては楽しめたものの、手放しに「面白かった」という訳ではなく、なんだかアンバランスさが目立ったように感じた。

全体の流れの中で、感じたことを時系列で追ってみると。

1幕は、全体的にお話がちょっと停滞気味。何にフォーカスを当てたいのかが、なかなか見えてこない。どうやら3人の恋話しだと言う大事なことは1幕の後半あたりで分かるんだけれど、そこまでのつなぎが、ちょっとノロい。冒頭のシーンが、掴みにしては野暮ったい。「チクタクチクタク」言っているものの、なんだか出てくる人出てくる人、ダンスも雑然としているし。しかも、全体的にビートの効いた音楽が、セリフを殺してしまっているように感じて、流れに集中できない。POPSをつなぎ合わせてミュージカルを作ったんじゃないか、というアンバランスさに悩まされた。

気を取り直して2幕。怪人と、リリカと、明智との、期せずした三角関係。突如出てくる乱歩らしいサーカス団のシーンや、要塞の島の様子。セットは若干安っぽいものの、おどろおどろしい感じが面白く。ラスト、愛情と憎悪の渦巻くフィナーレ。ここら辺に来て、ああ、いいなぁ、ミュージカルだ、と思うようになった。

全体的にバラードの曲が印象的で、大原櫻子の歌声が良かった。台詞の中で出てくる楽曲たちは、歌の上手い下手というより、ちょっとリズムに無理がある曲なんじゃないか、というのが多かった気が。台詞とも、ミュージカルナンバーとも、中途半端な感じなので、聴きにくい感じがした。そのためか、男優陣の歌はあまり印象に残らなかったかなぁ。「新作ミュージカル」だけに、何かお気に入りのナンバーが1曲でも見つかったら、とても嬉しい、とは思ったものの、あまりそこまでの感覚には至らず、だった。

森雪之丞のミュージカルは、15年くらい前に「天使は瞳を閉じて」のミュージカル版を観たことがある、のみ、なのだけれど。あの時も同じ構成だったのだけれど、楽曲楽曲ごとに意味があって、その曲の中で歌う役者がその「意味」を曲で紡いでいき、その曲が連なって1つの物語を作る、っていう構成だった。「天使は瞳を閉じて」の時は、この構成が非常によく作品にハマっていたのだけれど・・・。今回の作品はどちらかというと、流れるような感情の中で、反復したりしながら進む方が適している作品のような気がして。どうしても「楽曲!」っていう感覚が激しくて、物語が「流れ」てこなかったのかなぁ、なんて事を感じた。バラードの曲の美しさをかんがえると、全体的に一枚岩の楽曲で、クラシック調ベースの音楽の方が、作品の内容にはハマったんじゃないかなぁ、なんて事を思い。そんな感じだったのでスカパラのテーマ曲も、いい曲なのになんだかアンバランスな感じに思えてしまった。

気になった役者さん。大原櫻子、初めて観る女優さんでしたが、歌がいいなぁ。ヒロインにピッタリ。サーカスのシーンは、彼女のエロい格好を見せつけるために作ったシーンじゃないだろうか(笑)。フランク莉奈、明智の秘書役なんだけれど、常に目立っていてキレもあって観ていて楽しい。六角精児、ダンスが明らかに、必ず半テンポ遅れているんだけれど・・・あの座組での味の出し方は結構見ごたえあり。樹里咲穂、所作が美しくて舞台映えするなぁ、いいな、と思っていたら、宝塚出身の方でした。客席には、彼女のファンも多かったかな。

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チラシの裏

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