<観劇レポート>劇団ダブルデック「ピンポンしょうじょ→→」
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
団体名 | 劇団ダブルデック |
回 | 劇団ダブルデック リターンズvol.1 |
題 | ピンポンしょうじょ→→ |
脚本 | ゴロ六郎 |
演出 | ゴロ六郎 |
日時場所 | 2019/11/29(金)~2019/12/01(日) アトリエファンファーレ東新宿(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
2009年、劇団綺畸メンバーにより結成。紆余曲折を経て、2010年7月に第0弾「イエス!マイライフ」を上演し事実上旗揚げ。
公演をやる上での第一目標は「お客さんのエネルギーを吸い取る」こと。生で見ているからこそ伝えられる「人間の持っているチカラ」を伝えたい。ありそうでないようでやっぱりあるような現実を強烈に、パワフルに、そして優しく描くことにしている。
劇団名の由来は「いろんな視点がありいろんな景色が見れるけど行先は一つ」である。二階建てバスのような演劇がしたい想いから、ということになっている。
http://gekidandoubledeck.web.fc2.com/
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
浅草に天才卓球少女・現る。東京オリンピックでは公式種目ではない卓球。しかし、将来の公式種目化に向け、毎日のようにラケットを振る天才卓球少女がいた。品田ゴム工業社長の品田卓さんの娘・本子さん。かわいい顔の小さい体から繰り出されるスマッシュは4歳と思えないほどのスピード。負けず嫌いで卓球大好き。未来のオリンピア・品田本子ちゃんを私はこう名づける・ピンポン少女!
観劇のきっかけ
関係者の方から、twitterでお誘いいただいたのがきっかけです。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
観劇日時 | 2019年11月29日 20時00分〜 |
上演時間 | 95分(途中休憩なし) |
価格 | 3000円 全席自由 |
チケット購入方法
Webで予約をしました。当日清算でしたので、当日受付で代金を払いました。
客層・客席の様子
男女比は5:5くらい。若い方が非常に多かったように思いますが、シニアな方もチラホラ混じっていました。
観劇初心者の方へ
観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。
・コメディ
・パワフル
・動き
観た直後のtweet
劇団ダブルデック リターンズ「ピンポンしょうじょ→→」95分休無。
劇団の背景知らず観劇。鳥肌がたった。すごい。すごい。どこか懐かしい表現な気もする。舞台から溢れるパワーに圧倒され過ぎた。笑いの情報量多すぎて客が拾いきれてないけどお構い無しのパワー。ラスト単純だけど涙。超超オススメ! pic.twitter.com/RzEVYMmVxH— てっくぱぱ (芝居と酒好き) (@from_techpapa) November 29, 2019
映像化の情報
情報はありませんが、感想をつぶやいたりすると、DVDのプレゼントの案内があったように思います。
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
ストーリは。3部作的な感じ。
1967年。ゴム会社の娘、本子が、父の影響を受けて卓球を始める。友達の福と、優も卓球。気がつくと卓球ばかり。卓球大好きのはずが、いつしか父のプレッシャーがすごい人生。オリンピックなんかも出場して。3人は常にアイドル。でもあるとき卓が怪我をして大会に出れず。「福のためにも金メダルを取らないといけませんね」とうインタビューで逆ギレした本子は、「私は私のために金メダルとってるんだ」と言い残して卓球界を引退する。
1980年代。バブル期。福と優は、男女で卓球界の頂点に。しかも結婚。卓球日本代表のイケメンコーチにまで。一方引退した本子は、「ぴんぽん中毒。「卓球」には手を出さず、高校でできた友達と、「ぴんぽん」と音が出るものを求めて彷徨う。クイズ研究会で「ピンポーン」してみたり、エレベーターガールで「ピンポーン」と言ってみたり。気がつけば夜のヤバイ仕事にまで落ちぶれて、誰が父親ともわからない子供を出産して、「ぴんぽん」と名付ける。
2000年。ぴんぽんは、卓球をやりたいと母親に問うが、よく分からない条件を出されて却下される。事業仕分けをしてみたり、はやぶさを帰還させてみたり。そうして初めて降りた許可。母子でピンポンしているうちに、本子は、自分が本当は卓球がやりたかったと気がつく。50代になっても、東京オリンピックを目指す。その様子をYouTubeで流す。例え、再生数が二桁いかなくても。私は私の人生を生きる・・・とちょっと長いけれど強引にまとめるとこんなお話。
全編、軽快なリズムに乗せて、時代背景をトレースするようなギャグと、ダンス・・・まではいかないけれどキレキレな動きと、目まぐるしく変化する照明と役者さんのテンションで、終始運んでいく物語。パワーというか、表現としての熱量と、ラスト、非常に単純だけれど涙しそうなテーマに持っていく表現。観ていて、鳥肌が立つ感覚だった。舞台の熱量そのままを、観客が受け止めきれていない量だったように感じた。すごいもの観ちゃった、という感覚だった。
どこか懐かしい、という感覚も覚えた。「柿喰う客」に若干作風が似ている気もするし、古いおじさんの私は「惑星ピスタチオ」のパワーマイムや、劇団ショーマのようなものの影を見たような気がする。ただ、「何かに似ているな」と劇中から思い始めて、なんだろう、と問い続けているのだけれど、「これ」というものにたどり着かない。どこか懐かしさを感じるけれど、オリジナルの表現ということか。
1960年代から、2019年のオリンピックの前の年まで。その年ごとのネタを織り込んだギャグが満載なんだけれど。あまりにも唐突で、観客が拾いきれていない。しかも年代的な齟齬もあるから、そもそもギャグに気がつかない世代も多そうだし、理解できても、笑いまでたどり着くのに1秒くらいかかりそうな「思い出す」のが必要なネタ・・・NACK5とか、あの速度感で出されても、脳の回路がつながるのに時間かかるって・・・。なので、特定の層が、微妙に遅れて笑っているギャグが何度も出てくるのだけれど。そんな「やや受け」のギャグでも、全くひるまない。時代ネタ以外のネタではしっかり笑いとりつつ、ものすごい勢いで進んでいく芝居。
勢いで迫ってくるけれどラストはしっかりと、「私は私の人生を生きる」。単純で原始的な感情だけれど、この熱量の舞台の後だと、とても心地よいテーマ。あー、なんかうっすら涙も出てきてしまったし。圧倒されて、笑って、泣いて。。。。最高の舞台だった。
思えば、ここって「アトリエファンファーレ東新宿」、なんだけれども。狭さは感じつつも、こんな小さな空間で、ここまで表現できるんだなぁ、という感覚が強かった。特に、照明の作り込み方がすごい。ある程度小さな空間で成立しうる表現・・・という気もしなくもないけれど、もう少し大きなところで・・・例えばスズナリくらいの小屋で、観てみたかったなぁ、という思いも出てきた。
一つ不思議だったのは、ものすごく楽しいのに、いつもより多い回数、時計を見てしまった。理由がわからなかったけれど・・・終演後に理解した。観ていると、パワーが凄すぎて、疲れるからだ・・・。あと何分位、受け止められるかな、と思っていたのだと思う。この感想を書くために、劇団の紹介を見ていたら、・・・確かに。観客のエネルギーを奪う芝居なのか。
8人しか出ていないのに、全くそうは思えない。複数役をこなしていたシーンもあったけれど、それに頼っていたわけでもなく。なんだろう、あのたくさん出ている感は。役者さん。さんなぎ、可愛い。元気さと、表情と動きの緩急がとても印象的だった。はりゆうき、「卓球」っていう言葉に反応するの面白い。背が高いなぁ。八谷しほ、なんか物凄く表情が濃くて豊かで、観ていて飽きなかった。松原圭、イケメン!。斉藤百香、さんなぎとツートップで可愛い。田口ともみ、役が変わった時の変容っぷりが面白い。稲垣晋太郎、不良グループ面白い。稲垣晋太郎、中国人うまいなぁ。中川慎太郎、全体を回す狂言回しの役割と、「ぴんぽん」の差が凄かったなぁ。
今年のベスト10に食い込んできそうな一本。
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