観劇

【観劇レポ】劇団きらら「鯛の鯛」

【ネタバレ分離】 劇団きらら「鯛の鯛」の観劇メモです。

初回投稿:2026年07月12日 19時21分
最終更新:2026年07月12日 19時21分

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 劇団きらら
鯛の鯛
脚本 池田美樹
演出 池田美樹
日時場所 2026/07/10(金)~2026/07/12(日)
インディペンデントシアターOji(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

劇団きらら プロフィール
1985年に代表池田美樹を中心に結成。以降、熊本市を中心に活動。 一貫して代表池田美樹のオリジナル作品を上演。作品の多くは作・演出を担当する池田が現代社会に着想を得たもので、近年は中高年にスポットを当て、病気や失職、遺産分配など「大人ならではの悩み」をユーモラスに描き、独自の視点で現代劇を数多く生み出している。コートハンガーや脚立・箱馬などを見立てで使い、役者の口三味線やマイムでさまざまな空間を作り出す演出が特徴的。 また、演劇をツールとして活用した“自己表現ワークショップ”も展開中。ゲーム形式で楽しみながらコミュニケーション能力を培い、自己表現力を高める内容が企業や学校、生涯学習の分野で好評を得ている。 イベントやCM出演等の活動も多数。現在、団員5名。

劇団きらら

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

■あらすじ

「もうね、新聞に載らない大変なことなんかいーっぱいある。
人生、みんな大変よ。」
33歳・小林円太郎、初就職・初正社員。
賃貸営業として5年先輩で5歳下の後藤と共に、 皆様の住まいあれこれに奔走する日々。
新人内見バイト女子の奮闘や後藤の恋の応援など 愉快な出来事もある中、 次第に「残置物確認」「事故物件処置」など 目をそむけたくなるような現実にも出会い…

■池田美樹よりひとこと
「動いてるときは動かんでください!」
ある雨の日のバスの中。
走行中に降りる準備を始めた車椅子のおばあさんを 運転手さんが強めの声で注意され、車内に緊張が走った。
ネットに書き込まれそうな案件。
でもその後、運転手さんは、 びしょ濡れになりながら懸命に 車椅子のスロープを出してらした。
許せない。理解できない。一刀両断して欲しい。
ヤバいのは、 物事の背景を慮ってるヒマをなくした こっちかも。
そんなことを考えながらお届けします。
是非にご来場ください。

■応援コメント
池田美樹さんの作品は汁っぽい。綺麗な作り物や、汚い作り物を描ける作家は多いが、生々しい生活を感じさせる汁っぽさは稀有である。今回はいろんなことから逃げてきた30代男性を描くというが、絶対に観たくない。なぜなら、それは私そのものであり、あらすじを読んだだけで、過去の己の無知と傲慢と臆病によって、他の観客が大笑いするなか、冷や汗をかき続けることが確定しているからだ。が観てしまうんだろうなあ。

黒澤世莉(旅する演出家)

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2026年07月10日
15時00分〜
上演時間 110分(途中休憩なし)
価格 4000円 全席自由

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

鯛の鯛

ストーリーは記載の通りで。不動産会社のアルバイト。内見を一人でこなすようになったと思ったら…家賃滞納して強制的に契約が解除になってしまった家の片付けや、横暴な客との遭遇で自信を無くしたり…。社員の男や30過ぎてもバイトの男、そしてベテランの女性社員?。たまたま家を借りたいとやってきた、どこか現実離れした男を通して描く群像劇的な作品。

タイトル「鯛の鯛」。鯛に限らず、魚の頬骨あたりには、まるで魚の形をした骨があり、それをお守りにする習慣があるらしい。中でも「鯛の鯛」は、お守りとして人気があると、本編上演前に実物を実際に見せての解説あり。説明の通り、本編には「鯛の鯛」そのものは登場しなくて、「何かの中に、その何かと同じ形のものが入っている」という構造から付けたタイトルとのこと。

劇団二度目。熊本の劇団の東京公演。前作がとても印象的だったので観劇。舞台上に全出演者が基本は出ずっぱり。半円形に舞台を囲みながらそれぞれの役を演じる。前回観た作品と似たスタイルで、おそらくこれがこの劇団の作風なのだろうと思う。不動産会社の仕事を通して見えてくる、人間のままならなさみたいなものを描く。「金持ちなのに、その生活を手放して月5万のアパートに暮らしてたいみーで生活する客」という、どこかあり得ないけれどあり得そうな人を登場させて、ある種の聖人との比較的なお話を展開しながら、その差としての、人間に対する優し眼差しの演劇とでもいうのだろうか…優しい気持ちを湧き起こしてくれる演劇。技巧的にもしっかりしていて観ていて安心。世界観に浸ったのだけれど。

居住している人が亡くなった「遺品処理」や、何らかの理由で済めなくなった人の「残置物撤去/残置物処分」は、どういう訳か度々演劇のテーマとして登場する。生活していた本人が不在の中から、どちらも死を連想させるのがその理由なんだとは思うのだけれど…個人的には正直な所「またこのテーマだな」というちょっと食傷気味な感覚が強い。こういったテーマに初めて触れる人には目新しいのかもしれないけれど(私自身も最初はそう思っていたし)、そこから展開するお話にそれ程大きな差がない事もあり、とても重いテーマにもかかわらず、どうも安直さを感じてしまう自分がいるのも確かで。

前作「きなこつみ物語」は、スーパーのテナントの団子屋さんでたまたま出会った人々の物語。出会いの設定の置き方が絶妙だなぁというのを強く感じた物語だったのもあり、この手の仕事がまた演劇として取り上げられたなぁ、でもお話は似ているなぁ、という感覚を強く感じてしまった。

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