<観劇レポート>KAAT神奈川芸術劇場「SHELL」

#芝居,#KAAT

【ネタバレ分離】 KAAT神奈川芸術劇場「SHELL」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名KAAT神奈川芸術劇場
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
SHELL
脚本倉持裕
演出杉原邦生
日時場所2023/11/11(土)~2023/11/26(日)
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

CoRich 公演URL

団体の紹介

横浜、山下公園の近くにある、神奈川県の公共劇場です。

KAAT神奈川芸術劇場

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

倉持裕×杉原邦生、注目の初タッグでお送りする
現代を舞台に特異な人間が存在する不思議な世界を描く、青春ファンタジー!

とある高校の放課後の教室。そこには生徒の未羽(みう)、希穂(きほ)、咲斗(さくと)と数名の友達たち。彼らは、突然学校に来なくなった松田先生について、そしてこの学校の問題について度々話し合っている。
ある日、未羽は通りがかったビルからマネキンが落ちてくる現場に遭遇する。そのマネキンを抱きかかえていたのは中年男の高木だが、未羽には高木でもあり希穂の顔にも見えるという不思議な体験をする。同じ人間がいくつもの<顔>を持っている。それは、一部の者だけが知っている世界だったのだが、未羽にはそれを見抜く力があった。
希穂たち以外にも、いくつもの<顔>をもっている人々が分かる未羽。様々な登場人物たちがうごめく中で、顔を見抜けて「絶対他者」を繋げてしまう未羽、顔を持つ人々、そして全く分からない人々との間に、摩擦が生じていく…

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2023年11月17日
14時00分〜
上演時間125分(途中休憩なし)
価格6800円 全席指定

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは記載の通りで、ちょっと何言っているのか分からない・・・と思うかもしれない。実際、とても難解で、かつ、とても哲学的な問いを突きつけられているように感じる。同時に「何故私は私であって、貴方ではないのか」という、若い頃にはそこはかとなく考えた、40代のおじさんにとっては「懐かしい」問いを思い起こさせられた感覚もある。平日マチネだったからか、客席の年齢層は高めで若い人の割合は少なかったのだけど、難解とはいえ若い人・・・高校生から大学生くらいだと、直観的な理解ができるのではないか。難解だったのもあり、パンフレットが500円と安かったので買ってみた。手がかりらしき文章は殆ど無かったけれど、長塚圭史が倉持裕に依頼したのは「若者たちの青春を描いて欲しい」と書かれていて、感覚的な年齢層のズレは正しい感覚だったのかなぁ、と思う。

「絶対他者」っていう言葉が出てくる。エヴァンゲリオンみたいだけれど、SNSが発達したこの時代に、「絶対的な他者」を正確に見極めることが難しい。かつては、絶対他者ばかりだったのに、いまやいろんなところが繋がっているし、むしろ身近に絶対他者が存在していて。劇中に、盲目の女性が家で飼っているた大蛇が逃げ出したエピソードがあるけれど、あれは他者なのか、あるいはキホがのり移った何かなのか。あるいはラジオDJともう一人(名前忘れた)の喫茶店での会話で、椅子に鞄を置いて占拠している時にその椅子を使いたい人は「絶対他者」なのか・・・。そんな喉に引っかかった小骨のような描写がいくつもあった。

集会の後に。希穂は消えて。次に出てくるときはいつもの制服ではなく、緑色の制服(真緑)。卒業式で「さよなら」を言うも未羽。この後どうるんだろう、という未羽の問いに、「たまーに思い出すあの人、いや、思い出しさえしないあの人、になるだけだよ」と答えるのが印象に残り。

舞台セットが緑。ホリゾントや幕が全く無くて、KAATのホールの骨組みがむき出しになっているのは、以前の杉原邦生の演出「オレステスとピュラデス」のよう。骨組みが見えるのでちょっと安っぽさはあるものの、照明音響併せ、舞台空間としては異質で面白かった。

舞台#芝居,#KAAT