<観劇レポート>桃尻犬「ゴールドマックス、ハカナ町」

#芝居, #桃尻犬

【ネタバレ分離】


観た芝居の感想です。

公演前情報

公演・観劇データ

団体名 桃尻犬
第30回下北沢演劇祭参加作品桃尻犬本公演
ゴールドマックス、ハカナ町
脚本 野田慈伸
演出 野田慈伸
日時場所 2020/02/05(水)~2020/02/11(火)
OFFOFFシアター(東京都)

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団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

桃尻犬 momoziriken は演劇などをする団体です。
2009年立ち上げ。メンバーは作・演出の野田慈伸だけ。
人間の悪意や杜撰さ、どうしようもなさ。人生のくだらなさ、つらさ、どうしようもなさ。それらをポップに楽しく、HAPPYに描く。
人は人生にどうあっても立ち向かわないといけないが、キレイにまっすぐ立つことだけがその限りではない。

作、演出の野田慈伸は俳優としても、とても活躍中。

桃尻犬トップ

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

「ゴキブリも住む町。」

ハカナ町にあるパチンコ店、ラスベガス。
この店にはハカナ町のあらゆる人間たちが集まってくる。
ハカナ町には何もない。
コンビニもない。ゲームセンターもない。
畑と田んぼと、松田さんちのスーパーまっちゃんがあるだけ。
しかしここにはラスベガスがある!
みんなが集まるラスベガスがある!
今日も朝の10時から新台目当てに、みんなで並ぼう!
なんて毎日は楽しいんだ!

パチンコ屋しかない町に生まれたり、住んでる人たちのお話です。
多分どこかに旅に出ると思います。野田慈伸

観劇のきっかけ

昨年の公演が面白かったから、の観劇です。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

観劇日時 2020年2月5日
19時30分〜
上演時間 85分(途中休憩なし)
価格 3300円 全席自由

チケット購入方法

劇団ホームページからのリンクで予約をしました。
当日受付で、前売り料金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は6:4くらい。
様々な客層の方がいました。特定の層、というのはなかったように思います。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・笑える
・会話劇
・シンプル
・重い

観た直後のtweet

映像化の情報

情報はありません。

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

ストーリーは。
事前のストーリーの通り、ハカナ町には何もない。そこにあるパチンコ屋「ラスベガス」で働く男、中條はじめ。18歳くらいの頃、赤ん坊だった小春を捨てて、両親はどこかに消えた。以来、小春の事を守る事だけを考えて、町でそこそこ収入のいい、パチンコ屋に勤めて妹を育てて。必死に育てて妹も18歳。高校を卒業して就職する。そんな時、パチンコ屋に通い詰めていた男の娘、るり子…ちょっと変わった感じの娘が気分を悪くしている所を助けて、そのままるり子からベタぼれされて、日々求婚される。いつのまにかるり子は、パチンコ屋で働いている。それでも、妹を溺愛していた兄。妹を1人に出来ない。就職して、別の町に引っ越すと言い出す小春。お兄ちゃんも、せっかく愛してくれる人がいるのだから、るり子と結婚しなよ、という小春。兄との口論の末、兄は妹を手放す事を決意するが・・・と、ストーリーだけ若干中途半端にまとめるとこんな感じ。

サビれた町で生きる事。愛と憎悪は紙一重。親に捨てられた兄の思い。・・・織り込まれているテーマはいろいろある。それぞれについて語り出すと、ひとつひとつにそれなりの言葉が出てくるだろうものの。物語全体を捉えた時、何だかその町で、状況で、沸き起こってくるものを、ものすごく引いた、醒めた目線で見ているような感覚を覚えた。コメディ的な要素も強く、笑いもキッチリ取っている芝居だけに、何だか妙に空恐ろしい感覚も覚える。とても醒めた目線で、水槽の中にあるハカナ町の様子を眺めているような感覚。

物語の軸は、何と言ってもお兄ちゃんの妹への愛。お兄ちゃんみていると、切ない。致し方なく妹を守る立場に追い込まれて、ただ妹を守っていただけなのに、気が付けば妹を守るしか生きる拠り所がなくいし、「それ以外に行き所がない」事にも気が付いていない。妹を守る以外に何も経験したことない人生。コミカルな部分も多いのに、全体は本当に切ない。「お兄ちゃんは、愛し過ぎて怒られている」っていうのは、ものすごく痛い台詞だったし。

それでいて、妹と交代するように、今度は「愛してくれる」るり子は、結局は狂女。自分は狂女だと思っているからか、はじめも戸惑いつつも、酷い目にあっていそうな事が示唆されていて。ああ、愛し続けた後は、愛され続ける事が負担になる人生なのか…なんて事を考えてしまう。

周りを取り巻く人々も「それしかやる事がない」事で、気が付くとどこか吹き溜まりのような場所…パチンコ屋…に溜まっていて。それがいいとか、悪いとか、そういう事ではきっと無いんだろうけれど。明らかにズレていて、その事を考えるとどうにもやるせない気持ちを持つ。結局一人、妹の小春だけは、町に染まらず、マトモな感覚を持っているのかな、と思うと。兄の苦労の成果が実ったのだろうな、と想像する。

そんな人々を、善悪とは違う視点で、どこから遠くから見ている。その遠くから見た景色に、何か解釈が加わっているようには感じなかったけれど。それでも、どこか冷静に見ている視点を意識せざるを得ず。そんな、冷静に世界を俯瞰する、鳥の目のを考えざるを得ない作品に思えた。

気になった役者さん。堀靖明、MCR他で何度か見ている役者さん。今回、感情爆発させて妹を守るのは、かなり印象的。とにかく大声で感情を剥き出しにしているシーンも多いけれど、その大声が妙に悲しいお兄さんにマッチしていた。青山祥子、「俺ずっと光ってるボーイ、健之助」でも拝見した女優さん。ものすごく美人なのに、どこか違う世界にぶっ飛んでしまっている時の怖さと、今回はその「ぶっ飛び」をひた隠しにする、二重の怖さがあった。神崎れな、ボーイッシュなんだけれども芯のしっかりした感じと、高校生ならではの幼い可愛さとが、短時間で入れ替わる。その魅力が印象的。

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舞台#芝居, #桃尻犬