観劇

【観劇レポ】中央大学第二演劇研究会「借金大王」

【ネタバレ分離】 中央大学第二演劇研究会「借金大王」の観劇メモです。

初回投稿:2026年06月12日 22時58分
最終更新:2026年06月12日 22時58分

公演前情報

公演・観劇データ

項目 データ
団体名 中央大学第二演劇研究会
借金大王
脚本 のすけ
演出 のすけ
日時場所 2026/06/11(木)~2026/06/14(日)
シアターグリーンBASETHEATER(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

中央大学で唯一の公認演劇サークル、中大二劇!! 二劇!! ニゲキ!! 学年問わず新入部員随時募集中!

中央大学第二演劇研究会

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

バブルがはじけた日本
雇用が安定せず、社会には大きな格差と不安が生まれた
しかし、そこから成長するものもまたあった
ギャンブルである
国は「ギャンブル推進法」を制定
一発逆転のチャンスは国の支援もあり急速に成長した。

時は進んで20年後。
かつての熱は消えた。
失業者、ホームレスは増加の一途を辿っている。
日本は終わったのだ。
そんな中、主人公アタルの耳に入ったのは「運貸し」のうわさ。
どん底に光る一筋の希望は、またもや国民を逃れられられない渦に誘い込んでいた。

必然か偶然か。運か努力か。

ギャンブル中毒者の一人の男が人生の、そして国民の未来の一発逆転を目指す。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目 データ
観劇日時 2026年06月12日
14時00分〜
上演時間 90分(途中休憩なし)
価格 1500円 全席自由

満足度

★★★★★
★★★★★

(5/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。

感想(ネタバレあり)

借金大王

ストーリーは団体紹介の通り。中央大劇研は、以前観た作品があまり合わなかったので避けていたけれど…偶然読んだストーリーが面白かったので…大学の劇研は代ごとで結構変わるだろうから…と恐る恐る観た。飛び込んで良かった。滅茶苦茶に面白かった。

ストーリーは紹介の通り。パチンコ屋が度々登場したり、雑居ビルの5階にある「絶対怪しい」「運貸し屋」が登場。「一人の人間の持っている運は定量だから、その運を前借りする」という、一見馬鹿げたストーリーなのだけれど、その裏側に「運」とは対局の「努力」の話がある。人間は「努力」によって評価されるべきなのか…評価される先に「運」の要素は存在しないのか、という話題が通奏低音として流れている。ふと一時期話題になった、ハーバード大学教授のマイケル・サンデルが主張していたような問題が、頭の片隅によぎる。とはいえ劇は「白熱教室」のような格調高い議論とは遠く離れてw…とにかく「賭博」で運を試すどうしようもない世の中で、しかも「運を前借り」するくらいに落ちぶれている日本になっている。…その政策を作った首相が、裏ぶれてパチンコ屋の片隅で周りの客から100円をせびってる中、「努力を評価する世の中に」というデモが並行して起きている世の中なのが、何ともシュールで面白い。サンデルの「白熱教室」でも、「自分の実力だけでハーバードに入れたのか…」みたいな事をサンデルが教室に投げかけるシーンがあったが、まさにあの問題を思い出す。

「運とは、人間の状況に、人間が後からつけた名前である(うろ覚え)」と言い残して、クーデターを起こした人々に(おそらく)殺される首相。意味深なのか…当たり前なのかよく分からないけれど。むしろ人間が名付けた「運」という得体の知れない何かをある程度受け入れる方が健全なのだろうなぁ。…でも全てを「運任せ」にしてしまうとそれはそれで変な世の中になるのだろうな…どこか共産主義的な考え方の否定も匂わせたり(あの展開で、クーデターが起こるとは思わなかった)。団体発表のストーリーの通り馬鹿馬鹿しい物語展開なのに、結果的に人間社会の本質みたいなものをしっかりと描いた展開をするのが何とも興味深かった。

短いシーンが連なるタイプの作品だが、馬鹿馬鹿しい物語の割に状況説明の切れ味がすごい。ラスト以外音楽が全くなくてもセリフの力だけで描き切る、語感の鋭い脚本に舌を巻く。のすけ、という名前だけ。ペンネームかな。他の作品も見てみたい脚本家が増えた。大学生劇団なので演技力にムラはあるも、デフォルメな演技も中々に面白い。

今年上半期のベストに残りそうな一本。

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