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<映画レポート>「名も無き世界のエンドロール」

#映画

【ネタバレ分離】昨日観た映画、「名も無き世界のエンドロール」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「名も無き世界のエンドロール」

2021年製作/101分/G/日本/配給:エイベックス・ピクチャーズ

キャスト

キダ:岩田剛典/マコト:新田真剣佑/ヨッチ:山田杏奈/リサ:中村アン/石丸謙二郎/大友康平/柄本明

スタッフ

監督: 佐藤祐市 /原作:行成薫/脚本:西条みつとし/製作:勝股英夫,松井智,相馬信之,瓶子吉久,多湖慎一,永田勝美,港浩一,松木主市,松下幸生,竹内力/エグゼクティブプロデューサー:寺島ヨシキ/チーフプロデューサー:西山剛史/プロデューサー:内部健太郎,永井拓郎,貸川聡子/撮影:近藤龍人/照明:藤井勇/録音:武進/美術:相馬直樹/衣装:宮本まさ江/装飾:徳田あゆみ/メイク:熊谷波江/編集:田口拓也/音楽:佐藤直紀/主題歌:須田景凪/選曲:藤村義孝/音響効果:壁谷貴弘/VFXプロデューサー:赤羽智史,高玉亮/スクリプター:藤島理恵/助監督:吉村昌晃/ラインプロデューサー:大塚泰之/制作担当:横澤淳

公式サイト

名も無き世界のエンドロール
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

岩田剛典と新田真剣佑が初共演し、第25回小説すばる新人賞を受賞した行成薫の同名小説を映画化。監督は「累 かさね」「キサラギ」の佐藤祐市。

あらすじ

それぞれ複雑な家庭環境で育った幼なじみのキダとマコト。同じ境遇の転校生ヨッチも加わり、3人で支え合いながら平穏な毎日を過ごしてきた。しかし、20歳の時にヨッチが2人の前からいなくなってしまう。そんな2人の前に政治家令嬢でトップモデルのリサが現れ、マコトは彼女に強い興味を抱くが、まったく相手にされない。キダはあきらめるよう忠告するが、マコトは仕事を辞めて忽然と姿を消してしまう。そして2年後、裏社会に潜り込んでいたキダは、リサにふさわしい男になるため必死で金を稼いでいたマコトと再会する。マコトの執念と、その理由を知ったキダは、マコトに協力することを誓い、キダは「交渉屋」として、マコトは「会社経営者」として、それぞれの社会でのし上がっていく。そして迎えたクリスマスイブ、マコトはキダの力を借りてプロポーズを決行しようとするが、それは2人が10年の歳月をかけて企てた、ある壮大な計画だった。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5.0/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

いやはや。すごかった。事前の宣伝文句の通り、ラスト20分のどんでん返しはビックリした。概ねの全容が明かされたとき、何故そこまで気が付かなったんだろうか俺、的な想いも強かった。そこまでの、「ん、これ何でこんな薄っぺらい展開を混ぜ込むんだろう」というのが、全て氷解した。唸ってしまった。

大きく、青春の回想と、現在のサスペンスと、二つに分かれる映画だと思う。正確には、最後まで見て「サスペンスだったんだ」と理解する、というのが正しい。

まだ、感想が上手く書けそうにないので、少し自分の中の整理も込めて、ストーリーを分析してみる。


前半は、青春部分の追憶がメイン。ヨッチとキダとマコトの少年時代。どうやら三人とも、何らかの理由で親がいないようで。その三人が、肩を寄せ合って自らの存在を肯定していく青春。海で写真を撮ったり、スパゲティのナポリタンが好きだったり。そんな些細な日常。「自分の存在がなくなるのが怖い」というヨッチの言葉を真に受けて、いじめっ子に「ここにいるぞ」って喧嘩売りに行くシーンがとても染み入る。どうも不自然な握手だな、と思ったら、いつもの電気ビリビリ。「ヨッチの事は忘れても、自分がイタズラに引っかかったっていう屈辱は、一生残る」(うろ覚え)っていうのが、思わず涙してしまうし、今々感想を書き出すと、後の伏線になっている事にも気が付く。

ただ、前半のサスペンスの要素の部分は、若干不自然な展開に見える部分が多い。マコトがどうでもいい変な女に一目ぼれするし、カリオストロの城のルパンのような、花と万国旗を出すし。板金工場は突然店を畳むし。キダがマコトの居所を突き止めて訪ねていくシーンの二人のやりとりも不自然。、マコトがお金をためて、お金や学歴に執着する事や、キダの裏社会への溶け込みっぷりが、変に馴染んでるのが不自然。不自然すぎて、なんだこの変な展開は、という、カタルシスが残る。裏社会、柄本明が経営する怪しい会社が、二人の視点が見た社会に対する「寓話的な」要素なのかな、とか。あるいは、青春の回想で描かれている欠乏感が、現在からみると常に何かの「喪失感」になっていて、そういう喪失感を仮想敵とした、社会との戦いの話なのかな、と一瞬思った。

現在のサスペンス要素には・・・ヨッチがいない。回想シーンで何度も登場するヨッチが、影も形もない。話題にも出ない。最後にちょっと出て終わりなのかな…とか、二人を捨てて裏社会で働いてます…なんていう、しょうもないオチを想像してしまったのだけれど。そして、繰り返し描かれる交差点の描写。ここもやっぱり不自然。どこか現実感がない場所に見える。で、おそらくここでヨッチはひかれてしまうのだろう、というのは何となく予見できるのだけれど。リサの車の修理と、その事が、気付いても良さそうなのに、最後まで全くリンクしなかった。鈍いなぁ自分、と最後まで見て思った。

そして後半。サスペンス要素が一気に展開してくる。最後の20分。それまでの「不自然」な部分・・・一目ぼれの不自然、板金工場の閉店の不自然、・・・が、一気にその理由が分かっていく。全てパチッとハマる感覚。そして、コーラの置かれたホテルの部屋と爆発。。。リサを、かなり一方的な悪役にしてしまってるのが、ちょっと気にはなったけれども。


見終わって思ったのは、サスペンスとしてラスト20分の種明かしが爽快でありつつも、作品全体を貫いている「喪失感」の描写が、とにかく秀逸な事。ヨッチに対する喪失感。青春の喪失感。マコトを失った喪失感。そんな、もう失われてしまった何かを思う雰囲気が、それぞれの持つ青春への喪失感と、どこか共鳴する箇所があって、それが特にいいなぁと思った。

三人の少年時代の子役の名前が、チラシやホームページにはクレジットされていない。あの三人、ぎこちないけれど好きだった。特に、いじめっ子に仕返しに行くシーン。

DVD化されたら、もう一度見てみたい。

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