<映画レポート>「ヤクザと家族 The Family」

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【ネタバレ分離】昨日観た映画、「ヤクザと家族 The Family」の鑑賞レポートです。

映画基本情報

タイトル

「ヤクザと家族 The Family」

2021年製作/136分/PG12/日本/配給:スターサンズ、 KADOKAWA

キャスト

山本賢治:綾野剛/柴咲博:舘ひろし/工藤由香:尾野真千子/中村努:北村有起哉/細野竜太:市原隼人/木村翼:磯村勇斗/竹田誠:菅田俊/豊島徹也:康すおん/大原幸平:二ノ宮隆太郎/川山礼二:駿河太郎/大迫和彦:岩松了/加藤雅敏:豊原功補/木村愛子:寺島しのぶ

スタッフ

監督: 藤井道人 /脚本:藤井道人/企画:河村光庸/製作:河村光庸/エグゼクティブプロデューサー:河村光庸/プロデューサー:佐藤順子,角田道明,岡本圭三/撮影:今村圭佑/照明:平山達弥/録音:根本飛鳥/美術:部谷京子/衣装:宮本まさ江/ヘアメイク:橋本申二/編集:古川達馬/音楽:岩代太郎/主題歌:millennium parade/助監督:逢坂元/キャスティング:おおずさわこ/制作担当:大川哲史/題字:赤松陽構造/スチール:八木咲

公式サイト

ヤクザと家族 The Family
(公開後、一定期間でリンク切れの可能性あり)

映画.comリンク

作品解説

「新聞記者」が日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた藤井道人監督が、時代の中で排除されていくヤクザたちの姿を3つの時代の価値観で描いていくオリジナル作品。これが初共演となる綾野剛と舘ひろしが、父子の契りを結んだヤクザ役を演じた。

あらすじ

1999 年、父親を覚せい剤で失った山本賢治は、柴咲組組長・柴崎博の危機を救う。その日暮らしの生活を送り、自暴自棄になっていた山本に柴崎は手を差し伸べ、2人は父子の契りを結ぶ。2005 年、短気ながら一本気な性格の山本は、ヤクザの世界で男を上げ、さまざまな出会いと別れの中で、自分の「家族」「ファミリー」を守るためにある決断をする。2019年、14年の出所を終えた山本が直面したのは、暴対法の影響でかつての隆盛の影もなくなった柴咲組の姿だった。

満足度

★★★★★
★★★★★

(5.0/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

とにかく圧倒された。136分、殆ど集中力が途切れることがなかった。ヤクザとしての生を、家族の切り口から描く作品。・・・いやむしろ家族の視点というより、時代の変化を、家族の関係を通して描く、と言った方がいいか。主役は「家族」ではなくて、「時代」。とはいえ、家族の描き方が、とにかく哀しくて愛おしい。ヤクザが良いとか悪いとか、そういう「価値観」の話では、当然ない。そう生きざるを得なかったヤクザの話。

私自身の視点での「時代」の理解、という意味で書くと。仕事上の契約書を交わすとき、ある時期から、「反社会的な勢力」ではない事を証明する念書みたいなものを、取引先との間で交わすようになった。最初は面倒だっけたれど、気が付くといつものプロセス、という事になっていって、大して気に留めてもいなかったけれど。ヤクザと呼ばれる人々にとっては、この変化は全く意味が違っている。ある世界に生きる人の大きな時代の変化を、叙事詩として見ている感覚がある。

賢治の出所後の、ヤクザの世界の変わりぶりは凄い。いわゆる「半グレ」といわれるヤクザ組織に属さない人に時代を明け渡していく様。既得権益を失ったヤクザ。男を上げる、と言われたヤクザの世界。極道の世界。ある種の様式美の中で、カッコ良ささえ感じる世界なのに。それが滅びていく様。「しらす?」の密漁をしている、美化とはかけ離れた情けなくもある世界。その栄枯盛衰の中で、血縁でないのに「家族」という契りを結んで、そこで生きてきた人。本当の家族には見捨てられてるも、契りの家族が強い。その家族での悲しい哀愁を描いていた。

・・・と、書いてはみるものの。人間が画面の中で生きていて、生半可な感想がとても無意味にさえ思えてくる。見て、味わった感覚が全て、という気もしてくる。凄い作品過ぎて、直後でまだ言葉が出てこないようにも思う。そんな作品だった。

主演の綾野剛、今回初めて知ったのだけれど。いやはや、ものすごい。格差の演技。穏やかな顔と、疲れ切った顔と、恋している時と、いきり立った時の顔。その変化が凄まじく。舘ひろし、どんどん窶れていくのが見ていられないくらい。凄みからの、没落。ゴルフの球打ってた時のあの余裕と、入院している時の格差がすごい。尾野真千子、惚れてしまうのがすごくよく分かる。説得力がある。その魅力と、あの後悔の念と。凄まじい。この三人を見ているだけで、とにかくお腹いっぱいなのに。周りのヤクザ役も凄すぎて、満腹過ぎた。それと、豊原功補、私は「のだめカンタービレ」の江藤先生役が大好きなので、今にも「おなら体操」を踊るんじゃないか、と期待してしまうのだけれど。敵のヤクザの親分があまりにもハマり過ぎていて、知らな一面を見てビックリした。

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