<観劇レポート>ショーGEKI「アンドロとギュノス」
【ネタバレ分離】 ショーGEKI「アンドロとギュノス」の観劇レポートです。
もくじ
公演前情報
公演・観劇データ
項目 | データ |
---|---|
団体名 | ショーGEKI |
回 | ダークファンタジー音楽劇 |
題 | アンドロとギュノス |
脚本 | 羽広克成 |
演出 | 羽広克成 |
日時場所 | 2023/12/03(日)~2023/12/10(日) 新宿シアタートップス(東京都) |
団体の紹介
劇団ホームページにはこんな紹介があります。
ショーGEKIとは
1999年7月に新宿のスペース・ゼロにて旗揚げをする。
当初は主宰の羽広克成を中心に日本大学芸術学部演劇学科卒業メンバーがその中核を成すがその後、様々な団体、大学他の出身メンバーが加わり現在に至る。
公演の形式によって「ストレートプレイ」「ダンパチライブ」「大魔王公演」の大きく3つに分かれる。
過去の観劇
- 2024年11月06日【観劇メモ】ショーGEKI「ベッドトークバトルレジェンド」
- 2023年07月27日ショーGEKI 女子公演シリーズ「男ZERO0〜オトコ・ゼロ」
- 2022年07月18日ショーGEKI「もう泣くもんかと誓った私の瞳は涙の虜」
- 2021年07月15日ショーGEKI「脱出病棟」
- 2020年11月26日ショーGEKI「リメンバーユー 同窓会にはタイムスリップして参加します!」 ・・・つづき
事前に分かるストーリーは?
こんな記載を見つけました
「アンドロギュノス(両性具有)」、女と男の両面どちらも持つ存在。それがテーマとなるダークファンタジー。
もともと人は皆、アンドロギュノスという女も男も持つ完全体であったが、それが神の嫉妬で引き裂かれてしまった。
その女男が分かれた時に心も体と分かれてしまい、心と体が女男が替わった者もこの世界には多くいる。この世界は一つの人格が女として生きている世界と男として生きている世界がパラレルとなっているのだ。
バブル崩壊直後の1993年の世界を男としている人格の片割れはパンデミック後の2023年を女として同時に生きていた。性別も年齢も状況も全く違う男と女・・・しかし元々一つであったアンドロギュノスは互いを求め探し合う。しかし女と男が出会い、二つの世界が重なった時、人は再び神の呪縛と向い合わなければならなくなるのだ。大人数のアンサンブルで作品を構成し、圧倒的なスピード感で見せるショーGEKIならではの世界観で作り上げる音楽劇。
ネタバレしない程度の情報
観劇日時・上演時間・価格
項目 | データ |
---|---|
観劇日時 | 2023年12月04日 19時00分〜 |
ストーリー | G(ギュノス) |
上演時間 | 125分(途中休憩なし) |
価格 | 4900円 全席自由 |
観た直後のtweet
ショーGEKI「アンドロとギュノス」G組125分休無
面白かったけど疲れた💦。ノンストップ音楽劇。音楽が途切れる瞬間無し、と記憶。過去観たのと作風違う。劇団ダブルデックに似てる?「ベター・ハーフ」って言葉あるけど、あの意味を物語に乗せて、すごく感覚的に描いて見せられた感覚。超オススメ。 pic.twitter.com/B3UxeU6BRi— てっくぱぱ@観劇垢 (@from_techpapa) December 4, 2023
満足度
(5/5点満点)
CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
感想(ネタバレあり)
二つの時代。ふたつの男女関係をベースに描く「音楽劇」・・・は言い過ぎな気もするが、とはいえふさわしい言葉が無く、やはり「音楽劇」とでも言うべきもの。120分の時間中、音楽が途切れた瞬間が全くなかったのではないか、と思う。音楽のリズムに合わせて、セリフが発せられ、物語が紡がれ、時にはダンスも挟まれる。音楽自体は、同じ曲のループもかなり多くて、もう少し凝れるといいのになぁ、なんて事は思うも。これまで観てきたショーGEKIの作風とはちょっと違っていたのが驚き。とにかく120分間テンポよく物語が"続き続ける"ので、観終わった後は結構げっそり疲れる。
二つの時代の夫婦の物語。2023年を生きる、不妊に悩む編集者の妻とごくごく平凡な建設業の夫。片や、1993年の世界では、小説の中で書く理想の女性と妻とのギャップに悩む、小説家の夫と、美術家の妻の物語。それを取り巻く人々も、2つの時代に性別の異なる「対」になって存在している。音楽劇、しかもかなりハイテンポな物語故、細部まで物語を理解できたか・・・というと否で、ちょっと消化不良気味というか、物語は追い切れなかったなと思うも。見どころは「物語」を追うというより、『対になった関係性の「もう片割れの自分」』が必ずどこかに存在する・・・という事を語っているように思う。
鴻上尚史の戯曲で知られるようになった(?)「ベター・ハーフ」っていう言葉。特にキリスト圏での考え方だけれど、ひとつの魂がこの世に姿を現すとき、半分半分になって別の人間として誕生する、って考え方がある。結婚相手を探すのは、そのもう片割れを探す事。劇中の小学生でありおばあちゃんのセリフ「正解以外は間違いではない」(うろ覚え)は、もう一つの片割れを探すまでは、それは試行錯誤の過程である。「アンドロギュノス」って言葉はどちらかというとギリシャ神話の中の両性具有を表す言葉だけれども。複雑な物語の裏側で、軽快な音楽の音楽に乗せられて「ベター・ハーフ」っていう言葉に近い、比較的宗教観的な考え方を、自然にすり込まれた感覚。私自身はあまりその類の事を信じるタイプではないのだけれど、自然と「そうなのかもなぁ」みたいな事を思えた、不思議な物語だった。