<映画レポート>「TENET テネット」

#映画

昨日みた映画「TENET テネット」の、鑑賞レポートです。

あらすじ

名もなき男は、突然あるミッションを命じられた。
それは、時間のルールから<脱出>し、第三次世界大戦から人類を救えというもの。
キーワードは<TENET テネット>。
任務を遂行し、大いなる謎を解き明かす事が出来るのか?

満足度

★★★★★
★★★★★

(3.0/5.0点満点)

鑑賞直後のtweet

ここから先はネタバレあり。注意してください。

感想(ネタバレあり)

盛り込み過ぎて、何に焦点をあてて見たらいいのか、よく分からない映画だった。アクションやストーリー展開に飽きることなく最後まで楽しめたけど。テンポがものすごく早く、ちょっと気を抜くと、シーンがすぐに転換して、つながりが分からなくなりそうな部分があるくらい。とにかく、言いたい事てんこ盛りのストーリー。それが悪かったのか、あまりにごちゃまぜすぎて、見終わった私自身に、特に何の感情も湧いてこなかった。追いかけておしまい、な映画だった。

金のかかったアクション映画、という点では、見所満載なのだと思う。IMAX対応だし、時間の順行と逆流が合わさったりしているシーンは、見所ではある。クライマックスの旧ソビエト(ロシア)の地図にない町での作戦は、確かに見ごたえのあるアクションだなぁとは思いつつも。それ以外に見る要素があまりない気がした。ハラハラとか、死なないで、とか、この謎はどうなっちゃうの、とかの、ももろも感情が、どういう訳か沸き起こってこなかった。

本作はクリストファー・ノーラン監督作品。以前見た「インターステラー」がとても面白かった。実際、映画予告で「インタースタラーの、クリストファー・ノーラン作品」と書かれていて、予告も面白そうだったのが見に行くきっかけになった。「インターステラー」は、SFの要素と、時を超えて再開する感情の要素が、とても絶妙なバランスの作品だと思っていた。ノーランが、映画「メメント」の監督でもあるのは、見終わった後に知った。こちらも、記憶が失われている「焦り」の要素が激しい作品だったなーと、記憶している。

けれども、「TENET テネット」では、そういった感情の要素が全く消えてしまっている。キャットの、息子に対する愛みたいなものを「軸」と捉えられない事もないけれど、作品全体を貫く、というには、ぞんざいな描き方。小学校の迎えのシーンと、主人公と初めて会った夜に食事するシーンで、セリフで説明してくるくらいしか、納得するシーンが出てこない。CIAから、突如秘密任務?的なものに就く唐突さ。昔の同僚に突如助けを求めてそのまま仲間みたいに振る舞う唐突さ。気が付くと、特に詳しい説明もなく仲間が増えている唐突さ。唐突な描写が多すぎて、人間の描き方が粗いように感じる。ラスト、時間に逆行している人々は、主人公を以前から知っていた・・・要はこの企ての黒幕は、未来の主人公自身・・・というのは、納得こそはすれ、そこまでの突な物語の展開を納得させてくれるほど、強い印象を持っていなかった。感動の別れのシーンも、白々しく思えてしまう。

時間逆行のメカニズム。逆行した時間を生きる人々がいて、順行している時間とぶつかり合う、みたいな発想は、これまでのSFでは見た事なくて面白い。一方、事前に物理学的な勉強していくとよい、という趣旨で、ネタバレしないまとめ記事が出回っていた。科学的な知識がないと理解できない物語だったかなぁ・・・という点も、少し疑問。この設定、もともとは反粒子の世界は、時間を逆行した変数としてあらわすと正しく記述できる、という点に発想を得ているとは思う。何度か見ると、このあたりを細かく見られて、面白いのかもしれない。でも、フィーリングで、時間逆走する変なヤツがいる、くらいのノリでも、十分に見られるようには思う。物理の知識を得てまで、見るものでもない気がする。

と、いろいろ書いたものの、冒頭に書いた通り、映画としては楽しめるけれど、いろいろと盛り込み過ぎで、早すぎて感情が付いていかない、というのが率直なところ。多分、前後編くらいに分割して、全体を5時間くらいの映画にして細かくいろいろと描いたら、もう少し納得しながら見られたんじゃないかな、とも思うけれど。低音の効いたテンポの良い音楽で、とにかくハイスピートで見せる事で成り立っているから、単に間延びした作品になっている可能性もあり、悩ましい。


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