<観劇レポート>ワンツーワークス 「忖度裁判」

#芝居,#ワンツーワークス

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 ワンツーワークス「忖度裁判」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名ワンツーワークス
劇団ワンツーワークス #31
忖度裁判
脚本古城十忍
演出古城十忍
日時場所2020/10/31(土)~2020/11/08(日)
シアターX(カイ)(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

劇団ホームページにはこんな紹介があります。

『ワンツーワークス』は、古城十忍(こじょう・としのぶ)が主宰する劇団です。

ワンツーワークス

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

「場の空気を読む。空気を読んで、いろんな事を、いろんな人を慮る。
これ、当然のことだと思っているんですが、何か間違ってますか?
中には〈同調圧力〉なんてとんでもないことを言う人もいますが、
いちいち〈個性個性〉と騒ぎ立てて自分勝手な振る舞いをする人のほうが社会人としてはおかしくないですか?
〈空気を読む〉〈言わなくてもわかる〉、これは日本人の美徳です。

え? はい、おっしゃる通り、私はこの裁判で裁判員を務めました。
「それが何か、問題ですか?」

観劇のきっかけ

好きな劇団です。

  • 2019年10月25日ワンツーワークス「死に顔ピース」
  • 2019年03月15日ワンツーワークス 「鯨を捕る」
  • 2018年11月23日古城十忍の新作、ワンツーワークス「善悪の彼岸」は、死刑制度に望むものを問う挑戦的な作品!
  • ネタバレしない程度の情報

    観劇日時・上演時間・価格

    項目データ
    観劇日時2020年11月4日
    19時00分〜$$
    上演時間115分(途中休憩なし)

    客層・客席の様子

    シニア層と、若い層、真っ二つの観客席。
    男女は半々くらいでした。

    観劇初心者の方へ

    観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

    芝居を表すキーワード
    ・シリアス
    ・会話劇
    ・考えさせる

    観た直後のtweet

    映像化の情報

    情報はありません。

    満足度

    ★★★★★
    ★★★★★

    (4/5点満点)

    CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
    ここから先はネタバレあり。
    注意してください。

    感想(ネタバレあり)

    ストーリーは。
    裁判員裁判の評決の舞台裏を、緻密な会話劇で描いた作品。ママ友の間で仲間外れにされていた母親が、友達の娘を預かって、そのまま車の後部座席に放置して死なせてしまった事件を、実際の裁判員制度と同様、3人の裁判官と、6人の裁判員、3人の予備裁判員で審議し、評決にたどり着く様子を描く。裁判の審問の風景等は一切なく、審問室と、その周りの風景だけで描かれる物語。

    ここ1年くらいで、「十二人の怒れる男」「12人の優しい日本人」などを観ていたこともあり、裁判モノの演劇には親しんでいたつもりだったけれど、日本の裁判員制度を舞台にした作品は、ちょっと意外でもあり、灯台下暗しなテーマでもあった。知っていそうで知らない舞台裏を、丁寧に見れたことがまず新鮮。裁判員は6人と、裁判官3人で構成されるとか、予備裁判員がいるとか、多数決もある合議とか、基本的な事を知らなかった。裁判の風景をあえて描かないで、それぞれの裁判員の反応から、事件や裁判自体の様子を想像させるスタイルは、「十二人の~」と同様。

    「忖度」という言葉は、2020年現在は「権力を持った人に気を使って、下の人が権力者に都合の良い事を推し量ってして、結果的に悪い事をする」みたいな、本来の意味に拍車をかけた意味が、ニュアンスとして存在する。2017年ごろから、安倍首相と森友問題で有名になった言葉。その連想からすると、判決も、誰かの思いのまま、悪い方向に進む、というのを想像してしまったけれど、この作品では、そこまで悪い意味での「忖度」な展開でもなかったように思う。

    裁判官が検察に対する「忖度」をしていて、そこからある程度「見えていた」内容が判決となり、様々な意見の中でも覆る事がなく無難な線に落ちていく。人が人を裁くとき、何かに「忖度」しないで、まっさらな状態で裁く事の方が難しいのではないか、みたいなことを、ぼんやりとしたメッセージとして思う。他の裁判モノでよくありがちな、劇的な結論や、正義の執行みたいなものは、この演劇には存在しないのが、逆に生々しい。

    裁判員6番と、その娘のやり取り。会社の人間関係で悩んでいる娘の上司は、実は裁判員3番だという事を、6番は偶然知ってしまう。お互いがお互いに、変な線での「忖度」をしているのが面白い。落語みたいなオチだけれど、「忖度」しないなんていうのが、無理なことなんじゃないかなぁ、という思いに拍車をかけられた。

    実際の裁判員制度を、どの程度忠実に再現しているのか、というのが気になって、アフタートークに参加。青木孝之(元裁判官、一橋大学教授)と、古城十忍のトーク。青木氏は、実際の裁判員裁判の審問にいた事はないようだが、裏側の人物像を忠実に再現している、というコメントが多数あり、興味深い。言葉よりも、多数決の時の手の挙げ方にこそ、その人の本心が表れる、という指摘が鋭いな。古城十忍氏を初めてナマで見たけれど、想像していた通りの人で、それもまた面白い。

    それと、今回もワンツーワークスらしい、場面転換の手法・・・(四つ打ちの爆音と照明に、スローモーションなどの組み合わせ)満載。この手法、私は大好きで、とても有効だと思うのに、他でパクって利用しているケースを、今まで見た事がない(古城十忍作品の上演は除く)。会話劇過ぎる作品の場合、アクセントにはちょうどいいと思うのに、何故だろうか、という事を、ふと思ったりする。


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