<観劇レポート>早稲田大学演劇研究会「幸福の標本」

#芝居,#早稲田大学演劇研究会

【ネタバレ分離】昨日観た芝居、 早稲田大学演劇研究会「幸福の標本」の観劇レポートです。

公演前情報

公演・観劇データ

項目データ
団体名早稲田大学演劇研究会
幸福の標本
脚本それでもかわらだ
演出それでもかわらだ
日時場所2022/02/09(水)~2022/02/13(日)
早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

CoRich 公演URL

団体の紹介

数々の演劇人を輩出している、早稲田大学の演劇研究会です。

過去の観劇

事前に分かるストーリーは?

こんな記載を見つけました

━━━わたしたちは、「しあわせ」を永久保存することにした
わたしたちは、ながいながい休暇の中にいます。
未曾有のウイルスを横目に、忙しすぎた人間たちが皆、
ゆったりと息をついています。
本当の幸せとはなんなのか。
考え直す時間がやってきたかも知れません。

ネタバレしない程度の情報

観劇日時・上演時間・価格

項目データ
観劇日時2022年2月9日
17時30分〜
上演時間90分(途中休憩なし)
価格1000円 全席自由

チケット購入方法

CoRichの公演サイトで予約しました。
当日受付で、現金でお金を支払いました。

客層・客席の様子

男女比は5:5くらい。大学生っぽい人が多かったです。

観劇初心者の方へ

観劇初心者でも、安心して観る事が出来る芝居です。

芝居を表すキーワード
・シリアス
・考えさせる

観た直後のtweet

満足度

★★★★★
★★★★★

(4/5点満点)

CoRich「観てきた」に投稿している個人的な満足度。公演登録がない場合も、同じ尺度で満足度を表現しています。
ここから先はネタバレあり。
注意してください。

感想(ネタバレあり)

どこともつかない、近未来の場所。幸せになる薬を飲んでいれば、人々は幸せだ。不運な事故で体に重症を負った主人公の男は、病院の中で守られて生活するようになる。そこには、外界を全く知らず隔離され、でも幸福に暮らしている少女たちがいた。無垢で何も知らない少女たちを不憫に思った男は、彼女たちを外に連れ出す。少女たちは、実は薬を飲んでいなかった。何も知らない少女たちは、外界とどう接するのか。そして、その薬とは一体何なのか・・・と、強引にストーリーを強引にまとめるとこんなお話。どこか寓話のよう。

久しぶりの早稲田の劇研アトリエ。場内公演は、2年ぶりで、劇団公演ではなく、劇研の企画公演との事。テーマには、どこか青さというか、粗さみたいなものも目立つ作品だったけれど、面白かった。

「薬」が大きなモチーフになっている。この薬の正体は、結局最後まで明かされない。どうやらその薬を飲むと、幸福になれると信じている何か、らしい。その隠喩に隠されたものが、あちこちで見え隠れする。資本主義的な労働力・・・いわゆる、いい大学に入って、いい会社に入って・・・という幸福にも見えるし、外界と閉ざされた世界の少女たちからも、ごくありふれた制御できない不幸、のようにも見える。あるいは、(少し拡大解釈かもしれないけれど)コロナで内にこもった人々が、あえて避けようとしているモノ、にも見える。そんな、避けるべきなのか、受け入れるべきなのか、よく分からない何かの総体として、「薬」が描かれている。ただ、いくつも解釈がありそうで、受け取る人にとって、感じることに幅がある作品だと思う。

私にも息子がいる。外界の危険を何とか避けさせてあげたいという思いがある。でも、全ての危険を親が取り除くなんて無理で、その「薬」を飲むのを避けさせ続けるのは難しい。薬を飲ますべきか、飲まさないべきか。そんな矛盾した感情に似た思いを持つことがあるのを思い出した。

気になった役者さん。外界を知らない少女たち4人。パジャマ姿で、無邪気にはしゃぎまわっているのが印象に残る。